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ドラフト1位候補、高校生はこの5人!
大学生、社会人も数年は豊作決定?
 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/09/04 10:30

ドラフト1位候補、高校生はこの5人!大学生、社会人も数年は豊作決定?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

高校生で1位指名の可能性が高いとも言われる県岐阜商の高橋純平。

森下、オコエ、平沢も1位の可能性が高い。

●森下暢仁(大分商・投手)

 夏の甲子園大会不出場の選出で話題になったのは高橋だが、春・夏の甲子園大会にまったく縁がなかったにもかかわらず全日本に選出されたのが森下。大学日本代表との壮行試合では8回から1イニングだけ投げ、3安打、3失点を献上。小笠原、高橋にくらべるとスピード感で劣ったが、投げに行くときのヒジの高さや左半身の壁の安定感、さらにそういう長所がもたらすストレートの初速と終速の差の小ささに目を奪われた。U-18W杯では第4戦のチェコ戦に先発して7回(コールド勝ち)を1人で投げ抜き、3安打、12奪三振で完封。高く評価されるだけのことはあると納得させられた。

●オコエ瑠偉(関東一・外野手)

 今年の高校生のドラフト候補は質量とも例年並みだが、華やかさは例年以上。そう思わせるのは野手にオコエという逸材がいるからだ。夏の甲子園大会では早稲田実の1年生スラッガー、清宮幸太郎とともに話題を集め、2回戦の高岡商戦では第2打席で三塁打を放ち、このときの三塁到達タイムが私のストップウォッチでは10.75秒というとんでもない速さだった(私の13年間のストップウォッチ計測でナンバーワン)。

 この俊足はU-18W杯の1次リーグ、アメリカ戦でも発揮される。5回裏、二塁走者のオコエは挟殺プレーでの相手エラーに乗じて本塁を陥れるが、ベースタッチのタイミングはかなり微妙。捕手のタッチを遠回りしながらかいくぐり、スライディングで通過する瞬間に左手で“触塁”するという名人芸。

 翌日の日刊スポーツ紙、「神の手」の見出しをつけて賞賛した。東東京大会までのスカウトの評価は3位くらいだったが、選手権、U-18W杯を経て1位評価が定着したように思う。

●平沢大河(仙台育英・遊撃手)

 大学日本代表との壮行試合、大学チームの先発は来年のドラフト1位入札が確実視されている田中正義(創価大)。立ち上がりから田中のストレートは唸りをあげ、オコエを全球150キロ超えの快速球で1回もスイングを許さない見逃しの3球三振、さらに2番篠原涼(敦賀気比)も三振に切って取り、圧倒的な差を見せつけた。

 しかし3番の平沢は笑顔で打席に入り、実際に150キロ超えの快速球を体験しても笑顔は消えなかった。自信過剰とか負け惜しみとか、ネガティブな笑いではない。最高レベルの投手と対戦できる喜び、それが平沢の表情を緩ませたというより上気させた。そして5球目の153キロを持ち味の大きいフォロースルーでライト前に運び、ライトの捕球エラーで三塁へ進んだあと4番清宮のタイムリーで生還した。

 選手権では25打数6安打のうち3本がホームランという極端さで、安定感のなさを不安視する向きもあったが、この田中から放ったクリーンヒット1本で1位候補に飛び出した印象が強い。

 以上5人が高校生のドラフト1位候補である。彼ら以外では勝俣翔貴(東海大菅生・投手→外野手)、吉田凌(東海大相模・投手)、小澤怜史(日大三島・投手)も魅力がある素材だが、各球団は将来性のある高校生と即戦力の魅力がある大学生、社会人をバランスよく指名する傾向があるので、高校生の1位指名が12球団中、半分を占めることは考えづらい。U-18W杯出場組の高校生に続いて大学生、社会人で1位指名が有力視されているのが次の12人。その顔ぶれを紹介しよう。

【次ページ】 大学球界注目の的は高山俊の通算安打記録。

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