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ドラフト1位候補、高校生はこの5人!
大学生、社会人も数年は豊作決定?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/09/04 10:30
高校生で1位指名の可能性が高いとも言われる県岐阜商の高橋純平。
27歳の上杉芳貴は、今がまさに全盛期。
上杉は今年27歳という年齢がプロ側から見ればネックになりそうだが、都市対抗準々決勝の日本生命戦でストレートが最速152キロを計測しているように、今が全盛期と言っていい。スライダー、チェンジアップ、ツーシームという変化球のキレもよく、ストライクをぽんぽん取って投手優位のカウントにする投球術は経験の賜物と言っていいだろう。
角屋はヤマハの補強選手として都市対抗のマウンドを経験、1回戦の三菱重工長崎戦ではリリーフで3イニング投げ、ストレート主体の投球で目立った。最速は148キロと速く、さらにスリークォーターから投げ込んでくるので打者はベース手前でホップしてくるような錯覚を覚える。
代わった6回は、16球のうち変化球は1球だけであとはすべてストレート。それでも三菱重工長崎の4~6番はすべて三振を喫した。昨年の石崎剛(新日鉄住金鹿島→阪神)と印象が見事にだぶった。
準優勝した大阪ガスに補強された近藤大亮も「ドラフト上位候補」の声を裏切らなかった。投げに行くときの沈み込みが原因と思われるストレートの抜けが目についたが、指にかかったときのストレートは十分に上位候補のもの。上下動をどれだけ抑え込めるかが今後の課題になるだろう。
来年、再来年まで逸材が目白押し!
東日本勢に注目すると、都市対抗でよく見えた数少ない投手が石橋良太(Honda)だった。最速146キロのストレートにスライダーが縦、横2種類あり、カーブ、フォークボール、ツーシームのキレ味も抜群。
マウンド上で躍動する姿を見て思い出したのが、1996年に本田技研(現Honda)のエースとして都市対抗優勝の原動力になり、橋戸賞を受賞した入来祐作。ストレートにうねるような伸びが出てくれば1位指名も現実味を帯びてくる。
ここまで17人を1位候補として取り上げた。今年の特徴は夏の甲子園大会で有力球児が評判通りの実力を発揮したように、高校生の当たり年と言ってもいい。来年は創価大の田中正義をはじめとする大学生に逸材が揃い、社会人にもドラフト解禁を迎える山岡泰輔(東京ガス)、森脇亮介(セガサミー)、進藤拓也(JR東日本)、谷岡竜平(東芝)、七原優介(トヨタ自動車)、酒居知史(大阪ガス)、北出浩喜(パナソニック)という本格派投手が揃う。
2年後には早実の清宮が3年になり空前のドラフトフィーバーを迎えることは間違いない。野球界は今、実りの秋を迎えようとしているのかもしれない。