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長谷部誠、ドイツ9年目は「質」の年。
キャリア最高の昨季を超えるために。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2015/08/14 11:00

長谷部誠、ドイツ9年目は「質」の年。キャリア最高の昨季を超えるために。<Number Web> photograph by AFLO

8月8日のドイツ杯1回戦は3-0で勝利。長谷部はフル出場し、2点目をアシストして勝利に貢献した。

ヴォルフスブルクで共に過ごしたフェー監督。

 もちろん、落ち着いていられる理由はそれだけではない。

 右サイドバックを本職とするチャンドラーが、アメリカ代表として出場していたゴールドカップから戻り、8月に入ってから練習に参加。チャンドラーも「開幕戦には問題なくプレーできる」と話している。フランクフルトは元々、右サイドバックの選手層が他のポジションと比べて薄いことが問題視されていた。チャンドラーが試合に出られる状態になれば、長谷部の扱いもまた変わってくるだろう。

 そしてもう一つ見落とせないのは、フェーがヴォルフスブルクで指揮をとっていた頃、長谷部と共にプレーした経験だ。'09-'10シーズンのプレシーズン、前年度にチームをリーグ初優勝に導いたマガトからチームを受け継いだフェーは、おもに4-3-1-2のフォーメーションを採用していた。長谷部が起用されたのは、もっぱら、3ボランチのもっとも右サイドに位置するポジションだった。

 このシーズンは、ヴォルフスブルクにとっても長谷部にとっても、初めてのCL参加だったのだが、怪我のために出遅れていたグループリーグ第1節以外は、長谷部はすべて右のボランチとして先発起用されていた。CL直前のリーグ戦での先発はなくとも、CLの数日前には主力組として軽めの調整をし、万全のコンディションを整えるように命じられたこともあった。そのことからも分かるように、信頼は厚かった。まるで、CLを制した'05-'06シーズンにバルセロナの指揮をとったライカールトが、左サイドバックにはリーグ戦で多く起用していたシウビーニョではなく、実績と経験があるファン・ブロンクホルストを決まって起用していたことにも似ていた。

「シーズンは長いから」

 プレシーズンのキャンプ中に行なわれた練習試合では、長谷部はボランチとして起用されることもあったし、フェー監督とは自分の希望するポジションや考えかたについて、キャンプ中からこまめに意見交換もしてきた。だから、焦る様子はみじんも見られない。実際に、こうも話している。

「シーズンは長いから、ずっと自分が真ん中で出ないことはない、と思っているけどね」

 盤石でブレることがない。落ち着いた状態で、ドイツに来てから9度目のシーズンを迎えようとしているのだ。

 むしろ、いま、注目すべきは、今シーズンの彼がかかげるテーマの方なのかもしれない。

【次ページ】 30歳にして自己最多出場だった昨シーズン。

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