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高校野球で加速する「右投げ左打ち」。
4日目までの30校中5校で過半数に! 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/08/11 10:35

高校野球で加速する「右投げ左打ち」。4日目までの30校中5校で過半数に!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今大会最大の注目を集める清宮幸太郎も右投げ左打ちである。このトレンドはしばらく続きそうだ。

左打者が増えると、左投手の有効性も増す。

 反対に右投げ左打ちの選手がひとりもいないのは、大阪偕星と九州国際大付属の2校。大阪偕星は左打者が1人、九国大付は3人と右打者中心の打線を敷いていた。これはこれで、特徴的に見えてくる。

 このトレンドはしばらく続くだろうが、いま現場で求められている選手の特徴は2つある。

「投手はサウスポー」、そして

「右右のスラッガー」である。

 地方大会を見ると、強豪校ほど右投げ左打ちの打者が多いから、左打者対策としてサウスポーの投手が有効なのは当然のことだ。中学、シニアリーグで左投手で将来性が感じられれば、争奪戦は激しさを増す。ちなみに今大会、エースナンバーをつけた49人のうち、左投げは18人いる。

「右右のスラッガー」はプロでも大活躍中。

 打者に目を転じると、「右右のスラッガー」待望論が数年前から高校野球の現場では湧き上がっている。プロ野球では今季の本塁打ランキングを見ると、パ・リーグでは中村(西武)、中田(日本ハム)、松田(ソフトバンク)と右打者が並び、セ・リーグでも山田(ヤクルト)、畠山(ヤクルト)が1位と2位。

 もしも、彼らが左打ちに転向していたとしたら、同じような結果は出ていなかったと思う。やはり、ナチュラルなパワーというものは存在するのではないか。

 いま小学生を持つ親だったとしたら、左利きであれば投手、右利きであればスイッチヒッターを考えてみるのも面白いと思う。

 松井秀喜氏は自著の中で、スイッチヒッターにしていれば面白かったと思うと書いているが、ナチュラルなパワーを担保しつつ、左の良さを生かすという方法もある。

 ちなみに大会4日目までで、スイッチヒッターは鳴門高の日野選手ひとりだけ。チャレンジする価値はある。

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