eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
その決断は「無謀」か「先見の明」か。
eスポーツを支えた“いい大人”達。
text by
八木葱Negi Yagi
photograph bySANKO.INC
posted2015/07/28 08:00
今では多くのファンが詰めかけ、チケットの争奪戦さえ起こるようになったLJLだが、そこには“大人”たちの尽力の結晶が詰まっている。
「人生を賭けている子たちを見捨てられなかった」
チーム「Rabbit Five」のマネージャー7kaneさん(28)も、生活が一変した一人だ。元選手でもあるが、選手時代はまだ三宅島に住んだまま、大会がある時だけ東京へ行く、という生活だった。しかし現在はチームのマネージャーとして、都心と三宅島を往復する生活を送っている。
「選手をしていた時は、それまでと同じように島で農業を手伝ったりイセエビ漁の船を運転したりして、その合間に練習をする、という生活をしていました。
ただ現役を引退してマネージャーになるにあたって、やはり選手以上にやることは多いですし、これまでの生活では立ち行かないなというのは感じていました。意外かもしれませんが、実は自分の今後についてはそんなに迷いませんでした。むしろ考えたのは、チームメイトのことでした。
今のチームメイトはもう4、5年の付き合いで、年齢も私が最年長で下は18歳からいます。ほとんど家族みたいな感じなんですよね。そんな彼らが、大学を休学したり仕事を辞めて選手に専念したりする中で『この子たちを見捨てられない』という刹那的な感情はあったかもしれません。
だからもしかすると他の方とは違うのかもしれませんけど、eスポーツの世界にいつまでいるかも今のところまだわかりませんし、自分の人生をBETした、という感覚はあんまりないんです。それよりも一緒にやってきた家族のような仲間たちが軌道に乗るまで、なんとか自分も協力して見守って行きたい、という気持ちが大きいんです」
彼らの決断が「英断だった」と言われる日のために。
どんなジャンルであっても、最初にその道に進んだ人は「無謀だ」と言われるものであり、それはeスポーツでも変わらない。しかし数年後の時点から振り返ってみれば、その選択は「英断だった」、「先見の明」と言われることになる。
eスポーツの可能性に賭けた彼らの決断は、果たしてどちらで呼ばれることになるのだろうか。