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対左の成績が急上昇した理由とは?
筒香嘉智が信じ、貫いた“新打撃”。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/07/01 10:40

対左の成績が急上昇した理由とは?筒香嘉智が信じ、貫いた“新打撃”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

大器と言われ続けてきた筒香嘉智が、ついに球界を代表するスラッガーに成長した。DeNAに悲願の優勝をもたらすことはできるのだろうか。

高校通算69本塁打の男が、全てを捨てて再スタート。

 筒香はダメだ。人のいうことを聞かない――。

 そんなレッテルが張られていることを、本人も気づいていただろう。

 しかし実際は、筒香が目指すバッティングの理想が高かったからこそ、その習得に時間が掛かっただけだった。高校時代に本塁打を69本も打った選手が、それまでに培ってきたバッティングをすべて0にして取り組んだのである。「今は自分の思うように練習ができるので、すごく楽です」とこれまでの苦労をこぼしたことがあったが、厳しい道のりであったことは想像に難くない。

「今は、振ってしまいそうになる感覚はなくなった」

 筒香はこれまで、シーズンオフのイベントやメディア出演などにはほとんど参加していない。メディアやイベントに顔を出すことは人気向上に役立っただろうし、多少のお小遣い稼ぎもできただろう。しかし彼はそれをせず毎年のようにアメリカに渡り、トレーニングを積んできた。年頃の友人たちと同じように遊びたい気持ちには蓋をしたのだ。

「僕は自分のファンサービスは、結果を出すことだと思っていました。あいつ、イベントに出てけぇへんのか! と思われていたかもしれないけど、自分が技術を身に付ければ、ファンの方々に恩返しができると僕はずっと思ってきました。私生活も楽しいこととかいっぱいあると思うんですけど、我慢するのが当たり前やと思います。

 自信があったというのとはちょっと違うんですけど、一昨年のオフのトレーニングが終わったころに、バッティングの感覚が分かり始めていました。このままの方向性でやり続けていたら、結果が出るやろという感じはありました。分かりやすく言うと、身体に一本の芯ができたんです」

 反動を使って力いっぱい振るのではなく、身体の芯を意識してバットを振り抜くだけ。力の出力の仕方を覚え、筒香は覚醒したのだった。

 苦手意識を払拭した左投手について、筒香はこう語る。

「インコースは詰まるし、外は追いかけるしで、左投手は嫌なイメージがあって、一昨年までは特にスライダーが気になることが多かった。今は、振ってしまいそうになるという感覚がなくなったんで、ボールを追いかけることが少なくなりました。自分のポイントで打てるようになった。自分のバッティング自体が今までとは変わったので、左投手が嫌という感じはないし、右投手も左投手も変わらない印象です」

【次ページ】 「目の前のこともだけど、プランが大事」

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