沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
歴史的立ち遅れで大波乱の宝塚記念。
それでもゴールドシップが愛される訳。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/06/29 11:15
ゲートが空いてからゴールドシップが走り出すまで、永遠のように思えた数秒間だった。懸命の追走も実らず、15着となった。
まともにゲートを出た15頭はスローペースに。
まともにゲートを出たほかの15頭のなかから、12番人気のレッドデイヴィスがハナに立った。
その外から川田将雅が騎乗する6番人気のラブリーデイ(牡5歳、父キングカメハメハ、栗東・池江泰寿厩舎)が2番手につけた。
「馬場状態が気になっていたが、よくなってきていたのでイケると思った。いい位置につけることができました。隣の枠にいたゴールドシップが出遅れたのはわかりました。どこかで上がってくるだろうな、と。あとは自分の馬のリズムを守ることだけを道中は考えていました」
そう話した川田が「スローになるのはわかっていた」と言ったとおり、1000m通過1分2秒5のゆったりした流れになった。
レッドデイヴィスが逃げ、ラブリーデイが2番手、トーセンスターダム、オーシャンブルーと池江勢がつづき、ネオブラックダイヤ、ショウナンパンドラ、ヌーヴォレコルトらが追いかけ、離れた最後方はゴールドシップ……という馬順はほとんど変わらないまま、馬群は3コーナーに差しかかった。
馬群にとりついたゴールドシップ、マクりにかかるも……。
コーナーを回りながらゴールドシップが馬群にとりつき、得意のマクりにかかった。そこから前を丸呑みすべく横山の手が動くとスタンドは沸いたが、先行馬との差はなかなか縮まらない。
レッドデイヴィスが先頭のまま4コーナーを回り、最後の直線。楽な手応えで2番手につけていたラブリーデイがラスト200m地点で先頭に躍り出た。外から浜中俊のデニムアンドルビー、内から池添謙一のショウナンパンドラが伸びてくる。特に、ラブリーデイと同じ金子真人ホールディングスの勝負服を着た浜中が騎乗するデニムアンドルビーの伸び脚が鋭い。
内のラブリーデイか、外のデニムアンドルビーか。2頭がほぼ並んでゴールした。
勢いに差があっただけに、肉眼ではきわどい勝負に見えたが、ラブリーデイがデニムの追撃を首差しのぎ切り、GI初制覇を遂げた。