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なでしこ3連勝も深刻な攻め手不足。
決勝Tへ、光明は岩渕真奈の復帰。  

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栗原正夫

栗原正夫Masao Kurihara

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photograph byGetty Images

posted2015/06/17 12:00

なでしこ3連勝も深刻な攻め手不足。決勝Tへ、光明は岩渕真奈の復帰。 <Number Web> photograph by Getty Images

代表合宿でいためた右脚にはテーピングが巻かれているが、それでも岩渕真奈はキレのある動きでチームに活力を与えた。

格下相手なのに、なぜ決定機がほとんど無い!?

 試合開始5分に左サイドの宮間あやが出したクロスをニアで菅澤優衣香がヘッドでつなぎ、こぼれ球を大儀見優季が左足で詰めて先制したまではよかった。だが、その後の85分のなかでチャンスらしいチャンスといえば、16分にゴール中央エリアへのパスに宮間が頭で飛び込みバーを直撃したシーンと、85分に岩渕が大儀見とのワンツーで抜け出しシュートを放った場面くらいだった。

 1-0の中身も様々あるが、決してエクアドルが日本の怒涛の攻撃を必死で防いだ訳ではなく、日本のマズい攻めがエクアドルを崩し切れなかったように見えた。その証左とも言えるのだが、相手GKが日本のシュートをファインセーブで防ぐ場面などもほとんどなかった。

 佐々木監督は試合後の会見で「全員がピッチに立ったこと」を収穫として挙げ、終盤に出場した岩渕と永里について、こう触れている。

「岩渕については隠しておくのも手だったが、一度はピッチに立つことが重要と考えた。永里もひざの状態は完璧ではないが、溌剌とやってくれた。(大儀見との)姉妹2トップも考えたが、岩渕の守備面を考えてサイドに置いた」

 グループリーグで3連勝を飾ったものの、いずれもすっきりしない戦い方に終始したことを考えれば、最後に出したふたつの“駒”に今後の可能性が見えたことは救いだったかもしれない。

 とりわけ、80分に菅澤に代わって2トップの一角に入った岩渕は、少ないプレー時間ながらも積極的な仕掛けで、大儀見との連係から惜しいシュートを放ってもいる。ロスタイムにはドリブルからの仕掛けで、(最後は少し長くなってしまったものの)ダイアゴナルな走りでエリア内に侵入した永里へスルーパスを送るなど、個人技で局面を打開できる能力をシッカリ示していた。

故障からの完全復活を自らも確認できた岩渕。

 その岩渕は自身のプレーについて、こう振り返った。

「3週間近くリハビリしてきたので、まずW杯のピッチに立てたことをチームメートに感謝したい。試合勘は問題なく、10分がアッという間だった。ひざの状態もピッチに入ったら、まったく気にならなかった。

 日本で2試合、カナダで2試合(ベンチで)見て、サッカーをしたいなと思っていた時間が長かったので、それ(動きのキレ)を表現できていたならよかった。自分が入るなら点が必要なときだと思っていたし、相手のラインが深くて崩すのが難しいと感じていたので、シュートもそうだし仕掛けの部分を含めて自分のよさを出したいと思っていた。1点取れるチャンスを逃してしまったのは残念だったけど、短い時間でああいうシーンを作れたのはよかった」

【次ページ】 大儀見も認めた、岩渕との新たな攻撃の形。

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