岡崎は毎日、少しずつ少しずつ成長する。

　彼は、何かを一気に変えるのが得意なタイプではない。だから、劇的な成長をとげる選手ではない。

　ただ、岡崎はまるで日めくりカレンダーをめくるように、目の前の課題に一歩ずつ取り組んでいく。しかも、カレンダーをめくり忘れる日がない。劇的な成長とは縁遠いが、前に進まない日も存在しない。だから、足だけではなく成長するスピードが遅くとも、日本を代表するストライカーにまで成長することができたのだ。

時によって、やらなければいけないことは変わる。

　今シーズンは所属クラブでも、中央にとどまってゴールを狙うだけではなく、チームメイトを活かすような動きにもこだわってきた。ところがハリルホジッチ監督からは、ゴールに近いところで結果を残すように指示される。そして、岡崎はそのなかでもゴールを積み重ねてきた。

「とりあえず、サッカー選手としてW杯やアジアカップで負けたことが今シーズンは影響したのかな。そのたびに勝ちたい、勝ちたい、って思ってきました。チームを勝たせるためにゴールもとりたいし、チームメイトも活かしたい。でも、そのときどきでやらなければいけないことは変わってくる。試合ごとに、そして試合の中の一瞬ごとに最前線の自分に何が出来るか。それが大事だと思うんです」

　勝ちたいという気持ちが、チームのために働きたいという気持ちが、岡崎を今日もつきうごかす。

　今シーズンの最後に岡崎が戦おうとしているのは、ヨーロッパのトップチームではなく、日本と同じアジアの格下のチームに過ぎない。しかしこの試合は、ロシアW杯にむけた最初の試合なのだ。

　ブラジルW杯で味わった屈辱からスタートしたシーズンを、ロシアW杯に向けた最初の試合で締めくくる。岡崎は、そこでようやく新たな一歩を踏み出すことが出来るのだ。