サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
岡崎慎司、シンガポール戦の意味。
あの時の悔恨から、新たな1歩へ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/06/16 11:20
今季もブンデスリーガで12ゴールを決め、得点ランキング8位でシーズンを終了した岡崎慎司。それでも、代表で味わった悔しさは代表で晴らすしかない。
ゴール前で待っていて試合が終わる、という悔しさ。
にもかかわらず、ブラジルW杯では無力さを感じる場面に度々遭遇した。だからこそこの1年は、ゴールを決めることだけではなく、他の仕事をすることも考えてきたのだ。
「ゴール前で待っているだけで、ほとんど何も出来ずに試合が終わった時には『オレ、何をやっていたんだろう?』という想いがハンパなく出てくるんですよ。だから、そういう試合をなくしたいな、と本当に思うんです。
自分を信じて1試合、1試合を後悔しないようにやっていく。ボールを待ったあとも、『今のはこうだったかぁ』とか思うのではなくて、試合中は自分を信じてやらないと。そうしないと、試合に食われるというか、飲まれると感じてしまうんですよ……」
自らW杯での苦い思い出を引っ張りだして話を続けた。
そこまで語った岡崎は、自ら1年前の苦い思い出を引っ張りだして話を続けた。
「それがW杯とかアジアカップで、自分が力を出せてなかった原因だと思うんですよ。
例えば(ブラジルW杯の)コートジボワール戦にしても、『1点を守りきるのも悪くない』という考えがあったら、あのまま守り切れたと思うんですよ。それをずっと思っているんです……。なんで、オレはあのときにみんなに言えなかったのか?
(ハーフタイムに)『もっと行こうぜ』とか、『自分たちのサッカーをやれていないぞ』みたいな話も出ていたけど、オレたちがリードしていたんだから! 自分たちのサッカーを出来ていなくても、守りきって結果は出したうえで、(2戦目以降に)どう押し上げていくかというのを考えていけば良かったのに。自分たちのサッカーがW杯で出来てないからといって焦るのではなくて、自分のサッカーに自信を持つというかね」
今でも、奈落の底に落とされたブラジルW杯について、一言で振り返れるほど岡崎の頭のなかが整理されているわけではない。まだ、ブラジルでの一つひとつの現象について、整理をして言っている段階だ。ひょっとしたらブラジルW杯を消化できるまでには、3年とか5年、あるいは引退までかかるのかもしれない。
でも、それが岡崎らしさなのだ。