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岡崎慎司、史上5人目の4戦連発へ。
6戦記録を持つ男の「気持ち」とは。
posted2015/06/16 11:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
いきなり、クイズです。
日本代表で国際Aマッチの連続試合得点記録を保持する人は誰でしょう?
釜本邦茂(5試合連続1度、4試合連続3度)でもなければ、カズ(4試合連続1度)でもないのです。
正解は、と言いますと、“フリーキックの名手”木村和司の6試合連続。1985年5月のメキシコW杯アジア地区予選シンガポール戦でのゴールを皮切りに、同年10月の最終予選、韓国戦(ホーム、第1戦)まで決め続けている。
ここでお気づきの方も多いに違いない。記録更新となった6ゴール目が、あの“伝説のFK”なのだから。
韓国に2点を奪われて迎えた前半43分、ゴールまで約25mの位置から放たれた軌道は、美しく、そして鮮やかだった。相手GKが右に重心を傾けたことを見逃さず、大きく左に曲げて落とした。ポストを叩いてからゴールに入った極上の一発に、日本サッカーで前例のない6万大観衆が酔いしれた。W杯行きの初チケットは手に届かなかったものの、日本サッカー史に永遠に刻まれる名シーンとなった。
4試合以上の連続得点は4人だけ。
過日、木村氏との名コンビで知られた水沼貴史氏に、“伝説のFK”について話を聞く機会があった。
「あのときの和司さんはPKよりFKのほうが入るだろうって、そのぐらいの感じだった」と。
そして最後に語ってくれた言葉が、とても胸に響いた。
「現役のころ、和司さんはいつも言っていた。『最後は気持ちよ』って広島弁でね。あんなうまい人でも、気持ちって言うんだからね。あのFKだって、そうだよ。負けたくない、強いメンタルがあるからこそ、あそこで決められるんだと思う」
最後は気持ちよ――。
この連続試合得点記録、4試合以上をマークしている人は実は少ない。6試合の木村をトップに、5試合の釜本(4試合連続も3度)、渡辺正(1958年1月~'59年8月にマーク)、4試合のカズと日本サッカー史上4人しかいないのである。