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なでしこ、集大成のワールドカップへ。
澤穂希と大儀見優季、ふたりの思い。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph bySatoru Kaneko
posted2015/06/08 11:00
大儀見優季(左)は3度目の、澤穂希にとっては6度目の出場となるW杯。王者として臨む今大会、どのような戦いを見せるだろうか。
ワールドカップが開幕したカナダは、各国の代表チームがそれぞれ初戦を迎えるところで、次第に盛り上がりを見せ始めている。
連覇をかけて戦うなでしこジャパンも6月1日、バンクーバーの地に降り立った。空港では開催国のカナダ、初戦の相手のスイスのメディアがカメラをまわし、練習場にも連日海外メディアが取材に訪れている。そうしたこともあってか、3日目からは連日、非公開練習が行なわれるようになった。
これまでの大会とは、注目度があきらかに違うなか、なでしこは準備を行なっている。そんな中でも、チームを牽引する2人の選手に注目したい。
「楽しめている空気をしっかりピッチで出したい」
「楽しめています」
バンクーバーでの練習を終え、穏やかな表情でそう語ったのは、6度目のワールドカップにのぞむ澤穂希。
「(カナダに)着いたばかりのころは時差ボケもあったけど(笑)、それもすぐに解消されました。心と体が一致して世界大会を戦うのは簡単じゃない。でも、今、心と体が一致して、充実して過ごせていますし、楽しめている。
この楽しめている空気をしっかりピッチで出したい。代表を1年離れてみて、このメンバーと戦えるのが楽しいと感じたし、このメンバーのことを好きだということを改めて感じました。やっぱり大好きな場所。このメンバーで結果を残したい」
ゆっくりと、言葉をかみしめるように、バンクーバーの青空のもと、白い歯を輝かせた。
5月1日に開かれたワールドカップメンバー発表記者会見。佐々木則夫監督から、GK、DFと順番に名前を呼ばれ、いよいよMF。その最初に呼ばれたのは、10番、澤穂希の名前だった。