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なでしこ、集大成のワールドカップへ。
澤穂希と大儀見優季、ふたりの思い。 

text by

日々野真理

日々野真理Mari Hibino

PROFILE

photograph bySatoru Kaneko

posted2015/06/08 11:00

なでしこ、集大成のワールドカップへ。澤穂希と大儀見優季、ふたりの思い。<Number Web> photograph by Satoru Kaneko

大儀見優季(左)は3度目の、澤穂希にとっては6度目の出場となるW杯。王者として臨む今大会、どのような戦いを見せるだろうか。

監督が澤の名前を発表した瞬間、会見場の私は……。

 直近のリーグ戦を取材している中で、パフォーマンスを見る限り、間違いなく選ばれるだろうと予想はしていたが、いざ監督の口から澤の名前が聞けた瞬間、会見場にいた私は少し体が震え、こみ上げるものを抑えるのに必死になった。

 取材者として、日本女子代表を追いかけ始めた2003年、澤はすでに代表の中心メンバーとして存在していた。

 澤が牽引するなでしこは、ドイツW杯で優勝、ロンドン五輪で銀メダルという結果を出した。彼女が成し遂げる偉業に驚かされ続けてきた。

 昨年5月から1年間、代表に選ばれることがなかった澤はどんな思いでこの日を待っていただろう。

 本人のプレーの評価以前に、世代交代という言葉ばかりが躍っていた中、どんな思いで過ごしていたのだろう。

澤が語った、代表を離れていた1年間の思いとは。

 メンバー発表の数日後、神戸で澤穂希に話を聞くことができた。

 私の想像以上に落ち着いていた澤は、代表を離れていた1年間の思いをじっくりと話してくれた。

「代表を外れた1年間という時間は、私にとって必要だったと思うんです。

 なでしこジャパンを外側からみることで、自分自身、初心に返ることが出来たんです。代表には指定席なんてないんだ、ということも改めて感じましたし。結果論かもしれないですが、この時間のおかげで『原点』を見つめ直し、成長することができたんです」

【次ページ】 大儀見優季から届いた、1通のメール。

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