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トミー・ジョンから、急がば回れ。
楽天・釜田佳直が過ごす我慢の時。

posted2015/05/29 11:00

 
トミー・ジョンから、急がば回れ。楽天・釜田佳直が過ごす我慢の時。<Number Web> photograph by Genki Taguchi

手術前は最速153キロのストレートを誇っていた釜田佳直。中学1年までは捕手だったが、甲子園での斎藤佑樹と田中将大の投げ合いを見て監督に投手転向を直訴したという。

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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Genki Taguchi

 楽天の酒井勉二軍監督は、5月21日の福島ホープスとの交流戦を前に、相手指揮官の岩村明憲にこんなことを伝えたという。

「今の釜田はすごくいいボールを投げるよ」

 右ひじのトミー・ジョン手術(内側側副靭帯再建手術)からの完全復活を目指している釜田佳直はこの日、7回を投げ10安打を許しながらも1失点と要所を締め、酒井監督の期待に応えた。

 ストレートは130キロ台後半から140キロ台中盤をマーク。しかし、この試合で目を引いたのはゲームの組み立てだった。釜田が自身の投球を振り返る。

「10安打はさすがに打たれすぎかな、と思いましたけどね(苦笑)。最初のほうは、『いろんなボールを投げよう』って考えすぎてしまったところもあったんですけど、中盤くらいから『追い込んだらフォークで』と割り切って投げるようになって調子が出てきました。粘れたというか、悪いなりに抑えられたんじゃないかなって思います」

福島ホープスにとっては脅威だった、釜田の調整登板。

 釜田にとっては及第点。でも、福島ホープスにとっては脅威だった。選手たちの異口同音の証言からも頷ける。

「BCリーグであんなボールを投げるピッチャーはいないですよ。ピンチでのボールのキレなんて本当にすごかったですから」

 二軍とはいえプロである。BCリーグの選手たちが舌を巻くのも当然といえば当然だろうが、釜田自身が語っていたように、この日の投球はベストではなかった。

 何より、彼にとって今は、相手がどこであろうと調整登板なのである。

「リハビリの延長というか、今日も『7回、100球』を目処にマウンドに立ちましたし、今は試合を作るピッチングが続けられるように仕上げている感じですかね」

 BCリーグとの交流戦の成績は反映されないが、今季はイースタン・リーグ開幕から6試合に登板し3勝1敗。25回2/3を投げ防御率3.51(5月27日現在)と、まずまずの安定感を見せている。

【次ページ】 「今はまだ、焦らずにやっているって感じ」

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