出てる選手が出ていない選手に気を使うのはよくない。

　試合翌日の練習では、試合に出た選手が別メニューで汗を流しているため、残された選手だけで取り組めるメニューには制限がある。さらに、試合で起用されなかった選手達は不安や不満をため込んでいる可能性だってある。

「試合に出させてもらっている選手が、出ていない選手に気を使うというのは、チームのためには良くないと思うんですよ。出ていないヤツらが、自然と乗ってくるようじゃないと。試合に出ている選手に対して、はっぱをかけるようなことを、出ていない選手には言って欲しいんです。

　ただ年下の選手がサブだと、なかなかそういう声はかけづらいですよね？　でも、オレくらいの年齢になったら言える。だから、『あいつらを抜いて、試合に出ようよ！』みたいに声をかけたくて……。そういう声が出て雰囲気が変われば、自然と（先発した選手とサブの選手との）壁が消えると思うんですよね。壁を壊して、みんなにチャンスがあるというような状況にしたいんですよ」

　岡崎がそう考えるのには理由がある。

「南アフリカ（W杯）のときは何がすごかったのかって、スタメンを外された人たちが盛り上げていたことだったと思うんですよ。例えばイナさん（稲本潤一）とか、楢さん（楢崎正剛）や俊さん（中村俊輔）とかがそうで。

　ああいう人たちが自分のために黙々とやる、なんてことは一切なくて、試合に出ている人たちに声をかけようとしてくれる。『こうした方がいいんじゃないかな』とか、『オレが出たらこうしたいな』とか。それを見て、ベテランが何人かベンチに入るというのは理想なのかなと。もちろんオレも試合に出たいですけど、そういう意味ではベンチにもいたいくらい。どっちもやりたいんですよね（笑）」

澤穂希のW杯メンバー入りにも言及。

　くしくも、1年近く代表から離れていた澤穂希がカナダで行なわれる女子W杯のメンバー入りしたが、それについて岡崎はこんな風に語っていた。

「やっぱり、大事だと思いますよ。澤さんならもちろん、試合に出てもしっかり仕事をするでしょうけど、それ以外のこともやれたらすごいなと思いますね」

【次ページ】　気がつけば29歳、年長組になった岡崎。