サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
守備意識、裏への抜け出し、日の丸。
宇佐美貴史が代表で手に入れたもの。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2015/05/15 10:50
ハリルホジッチ監督に体脂肪率の高さを指摘された宇佐美だが、それも監督にかけられた期待の高さの表れだろう。
「刺激をもらえることを言われました」
「刺激をもらえることを言われましたし、有り難い話をしてもらいました」
2日間の合宿後、宇佐美はそう言った。
どうやら3月の試合につづき大きな土産をもらったようだ。口元が荒れるなど連戦の疲れは隠せないが、さらに成長するためのヒントを得て、充実した笑みを浮かべた。
「選手にはすごく伸びる時期があるけど、貴史にとっては、代表入りが大きかったんだと思う。オレもそうだったけど、そこで刺激を受けて意識が変わるんです。それは毎回、代表にいって感じるもの。貴史も1回、2回と代表に入り続けることで成長できることを実感しているはず。だから、代表に入るためにチームでさらにやろうとしているし、それが結果的に自分の成長に繋がる」
遠藤はそう言った。
代表定着のためにも成長し続ける。Jリーグで見せるプレーが宇佐美のその堅い決意を証明している。見てみたいのは、親善試合ではなく、代表での公式戦でのプレーだ。6月からロシアW杯2次予選が始まる。そこで、どんなプレーを見せてくれるのか。もし出場するとなると初めての公式戦になり、W杯予選になる。
「そりゃもちろん出たいですよ。その前に監督に要求されたことをしっかりピッチで出せるようにすることが大事。それができんかったら簡単に外される。自分は危機感バリバリですし、今は必死にやるだけです」
これまでは独自のセンスと高い技術だけでやってこられた。今、宇佐美はハリル監督の声を聞き、課題を指摘され、プレイヤーとして一皮剥けようとしている。そういう自分をもうひとりの自分が、きっと楽しそうに見ているはずだ。