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“敗因”を抱えながらレースに勝つ。
横山典弘が変える、「競馬の常識」。
posted2015/05/11 11:25
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
またノリちゃんだ――名手が絶妙の手綱さばきを見せ、前週の天皇賞・春につづき2週連続でGIを制覇した。
横山典弘が操るクラリティスカイ(牡、父クロフネ、栗東・友道康夫厩舎)が第20回NHKマイルカップ(5月10日、3歳、東京芝1600m)を優勝。レース史上初の父仔制覇を遂げ、3歳マイル王の座についた。
ゲートがあくと、18頭の出走馬がほぼ横並びのスタートを切った。
まず3枠の2頭、レンイングランドとタガノアザガルが飛び出し、5枠9番から出た3戦3勝の快速牝馬アルビアーノがつづいた。その直後に3番人気のクラリティスカイがつけ、外からマテンロウハピネス、ヤマカツエース、ダノンメジャー、内から1番人気のグランシルク、さらにアルマワイオリ、ミュゼスルタンといった有力馬が追いかける。
3コーナーに入るあたりで、先行勢が急激にペースを落とした。
馬群はひとかたまりになり、1頭ポツンと置かれたコスモナインボールを除くと、先頭から最後尾まで10馬身ほどしかない。
「道中ずいぶん引っ掛かってしまい、しんどかった。ペースが遅かったので、4コーナー手前では我慢するのにひと苦労でした」と横山。ほかにもマテンロウハピネス、アルマワイオリ、ヤマカツエースなど、抑えるのに苦労している馬が何頭もいた。
前半の800mが47秒2。それに対し、後半の800mが46秒3だったから、数字のうえでは超スローというわけではなかった。前半の600mぐらいまではまずまず流れていたのだが、3コーナーに入るあたりで先行勢が急激にペースを落とし、折り合いに苦労する流れになったようだ。
逃げるレンイングランドの斜め後方2番手につけたアルビアーノの柴山雄一にとっては、理想的な形だった。
「レース的には完璧だった。ペースを落とせたし、リズムよく進むことができた。初めて控える形になりましたが、調教で馬の後ろを走るトレーニングを重ねていたので問題はありませんでした」