沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
桜花賞不出走の快速牝馬が登場。
気鋭のトレーナーが挑むNHKマイルC。
posted2015/05/09 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
NIKKAN SPORTS
あれだけたくさんいた「無敗の重賞勝ち馬」が、1頭、また1頭と敗れ、ついに本稿を書いている時点では、アルビアーノ(牝3歳、父ハーランズホリデー、美浦・木村哲也厩舎)だけになってしまった(5月9日の京都新聞杯を1戦1勝のロードクロムウェルが勝てば1頭増えるが)。
そのアルビアーノが、3歳のマイル王を決める第20回NHKマイルカップ(5月10日、3歳GI、東京芝1600m)に出走する。
1月に中山芝1600mの新馬戦でデビューし、2戦目は東京芝1400mの500万下、そして3戦目が重賞の前走、中山芝1800mのフラワーカップ。初戦は2番手からじわっとハナに立って押し切り、あとの2戦はスピードの違いで逃げ切って、戦績を3戦3勝とした。
牝馬なのだから桜花賞に出走したほうがよかったのではないかと思われるが、管理する木村調教師は、それほど迷わずこちらへの出走を決めたという。
「年明けにデビューして、何回も使っているので、できれば間隔をあけたいと思っていました」
木村調教師「逃げなくても力を出せる馬」
NHKマイルカップを逃げ切ったのは、2012年のカレンブラックヒルと昨年のミッキーアイルだけだが、木村調教師によると、逃げなくても力を出せる馬だという。
「相手関係よりも、アルビアーノをいい状態にして出走させることだけを考え、最善を尽くしたいと思っています」
そう話す木村調教師は開業5年目の42歳。彼や、ルージュバックを管理する大竹正博調教師といった美浦の気鋭のトレーナーが牽引し、今の「西高東低」の流れを変えていく可能性が大いにあると私は見ている。
以前、私がインタビューしたとき、木村調教師は毎週、日曜日の競馬が終わると北海道の生産地に飛び、牧場回りをして月曜の夜に戻る……ということを繰り返していた。今もつづけているのか、天皇賞・春の日に京都競馬場で会ったとき、訊くのを忘れてしまったが、ともかく、馬づくりに対する熱さが気持ちいいぐらい伝わってくるホースマンである。