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グランパスのトップはトヨタの社長。
豊田章男新会長、就任の「裏側」。
posted2015/04/21 10:50
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Kyodo News
日本を代表する大企業・トヨタ自動車の第11代目社長、豊田章男氏。ある関係者から「ついに豊田社長が、名古屋グランパスの会長に就くことになったらしい」と聞いたのは、2月下旬のことだった。そして今月中旬、新聞報道とクラブの公式発表により、その事実が公になった。
さらに、豊田氏がクラブの株主総会後に行なわれる会見に登壇するという情報も耳に入ってきた。経済界のトップの人間が、いよいよサッカー界に参画する。期待と興味を抱え、名古屋へと向かった。
4月16日。名古屋駅からほど近い、トヨタ産業技術記念館。トヨタグループの根幹企業である豊田紡織(現・トヨタ紡織)の工場跡地に建てられたレンガ造りの瀟洒な館が、会見会場となった。
午前中に開かれた株主総会を終え、午後12時半から新人事の発表が行なわれた。会見に登壇したのは4名。今年3月まで名古屋の社長を務めていた佐々木眞一新副会長が初めに姿を見せると、その次に現れたのが、黒縁メガネをかけた豊田章男新会長。2008年よりGM(ゼネラル・マネージャー)を務め、今回トヨタ外部の人間として初の社長に就任した久米一正氏(日本サッカー協会評議委員)とともに、壇上中央の席に座った。
トヨタ=グランパスの親会社、ではない。
豊田会長は開口一番、クラブに対する思いを熱く語った。
「グランパスがより地域の人々や地元企業に愛されるために、トヨタとしてもこれまで様々な形で支援してきました。2010年にはJ1リーグを優勝しましたが、ここ数年は下位に低迷してしまっている。これは私も1人のファンとして残念。いまの順位はグランパスの本来の位置ではないと思います」
周知の通り、トヨタはクラブのメインスポンサーであり、名古屋の赤いユニフォームの胸には世界中の誰もが知っている『TOYOTA』の文字が記されている。
世間では名古屋グランパスの親会社=トヨタという見方で認識されているかもしれないが、実情は少々異なる。