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グランパスのトップはトヨタの社長。
豊田章男新会長、就任の「裏側」。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byKyodo News
posted2015/04/21 10:50
名古屋グランパスの会長就任会見を終え、久米一正社長とともに笑顔で撮影に応じた豊田章男氏。モータースポーツの印象が強いが、グランパスの試合会場によく現れることでも知られている。
最大の注目はやはり、トヨタからの大型資本注入。
今回の人事変更で、今後注目が集まるのは、つまるところ一点である。それは、トヨタからの資本注入により、名古屋が名実ともにビッグクラブになっていくかどうか、ということだ。
この周囲の最大の関心事について、まず豊田会長は直接的な発言を避けた。
「トヨタと言ったら、すぐにお金と思われてしまう。私は財布ではないので(笑)。それにトヨタと言えば、誰も社長の言うことを聞かない会社としても有名です(笑)。私がクラブの会長になったからといって、すぐにお金を期待されるのは厳しい」
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現にクラブは、依然として累積赤字を約3億6千万円抱えており、まずはその解消に力を注ぐことが先決である。また先述した地元スポンサー各社との出資比率のバランスを壊すことはトヨタが望んでいないため、急激な大幅増資が行なわれることも現実的ではないという。
豊田会長は口を濁したが、副会長が……。
とはいえ、トヨタのトップが経営に参加するということは、遅かれ早かれ金銭面での支援を期待されるのは避けがたい。豊田会長の代わりに、佐々木副会長がそれを示唆するような発言をしている。
「豊田会長の就任の理由は、スポーツで社会に貢献し、恩返しをすることです。それでも、今後新スポンサーも含め、多くの企業からもっとクラブを応援しようと思ってもらう上では大変心強い存在でもあります。今後、トヨタ本体に何かしらのお願いをすることも出てくるでしょうが、いきなり何か大きなことをお願いするということではありません。
ただ、いまのクラブ予算は世界的に見ても脆弱。Jの全クラブが現在の倍ぐらいの予算規模にならないと、中国や世界のクラブなどとは渡り合えない。もちろん(お金をかけて)良い選手を獲得すれば(観客増などによる)営業成績は上がり、営業成績が上がれば良い選手を獲得できる。今回がそのような循環のスタートになるシーズンだと思っています」