松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
2番のイーグル、12番のチップイン。
松山が感じていた“幸運と必然”とは?
posted2015/04/11 12:10
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Getty Images
松山英樹の2日目のティタイムは午後1時26分。昼下がりのせいか、それとも2日目を迎えて人々が今年のマスターズの雰囲気に少しこなれてきたせいか、1番ティの周囲に漂う空気は前日ほど張り詰めてはいなかった。
練習グリーンでパットを仕上げる松山の表情も初日より柔らかくなっていた。心地いい風が肌を撫でる。この風はこれからスタートしていく松山の味方になるのか、敵になるのか。いい1日になってくれるだろうか。そんなことを考えながらパット練習を眺めていたら、彼の出番がやってきた。
初日同様、今日もまた2本のロープの間の小道から大舞台に上っていった。柔和だった表情は、いつの間にか厳しく変わっている。
2番でイーグル獲得も、3番からは急転直下……。
「ヒデキ・マツヤマ。ナウ、ドライブ」
スターターのトビー・ウィルトの声を合図に、ドライバーを手にした松山はセットアップに入った。
第1打は前日とほぼ同じフェアウエイ左サイドのファーストカットへ。次打でピン右下8メートルに乗せ、きっちり2パットでパー発進。固唾を飲んでパーパットを見つめた初日と比べると、2日目の発進には少しばかり余裕が感じられた。
続く2番はパー5。フェアウエイを捉えた松山は289ヤードの第2打に3番ウッドを握り、グリーンをヒットしたボールは面白いようにピン方向へ寄っていった。4メートルをスルリと沈めて、イーグル獲得。早くもいい流れができはじめた。
いい1日になりそうだ。きっと今日は青空が広がる快晴だ。そう思える出だしだった。
だが、3番は第2打がわずかにショートしてグリーン手前へ跳ね戻り、第3打は寄せ損なって、ボギーを叩いた。7番では3パットして再びボギー。パー5の8番では2メートルのバーディーパットを外して、パーどまり。
折り返し後の10番でも短いバーディーパットを外した。11番では10メートルのファーストパットがカップの80センチほど手前で止まった。想像以上のショートだったのだろう。松山は腰に手をやり、天を仰いだ。
2番のイーグルは何だったのか? 3番からは急転直下。せっかくの青空に瞬く間に暗雲が立ち込め、重い空気に包まれた。