松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
笑顔のような、仏頂面のような表情。
松山英樹、マスターズ5位を振り返る。
posted2015/04/13 13:15
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
日曜日のオーガスタナショナルは曇天だった。通算5アンダー、10位タイで最終ラウンドに挑む松山英樹のティタイムは午後2時10分。そして、最終組のティタイムは午後2時50分だった。
2サムで回る決勝ラウンドは、各組が10分間隔でスタートしていく。松山の10分後に次の組、そのまた10分後にその次の組。後ろから5組目の松山と最終組とのスタート時間の差は、わずか40分。例年なら、後ろから5組目は優勝争いに絡む可能性が十分にある位置だ。
しかし、初日からジョーダン・スピースが大会記録を更新しながら独走していた今年は「優勝のチャンスはせいぜい後ろから2組目までだろう」というのが世間の大方の予想だった。
首位スピースとの11打差、松山の意識は?
単独首位のスピースは3日目を終えて通算16アンダー。そのスピースとともに最終組で回るジャスティン・ローズは4打差の通算12アンダー。後ろから2組目は通算11アンダーのフィル・ミケルソンと通算10アンダーのチャーリー・ホフマン。逆転優勝が起こるとすれば、せいぜいこの6打差ぐらいまでで、スピースと10打差以上離れていた5位以下の選手たちには、おそらく優勝のチャンスは無いと思われていた。
松山とスピースの差は初日を終えたときは7打差だった。だが2日目を終えると11打差に広がり、3日目後も11打差。果たして、松山はこの「11」という数字を、どう受け止めながら最終日に挑もうとしていたのか。
何が起こるかわからないのがメジャーだ。とりわけオーガスタのサンデー・バック9には、信じられないようなドラマが起こる。とはいえ、11打の差はあまりにも大きい。追い付く可能性、挽回できる可能性はゼロではないが、限りなく小さい。
松山は、その小さな可能性を心のどこかで信じているのかどうか。それは、彼の胸の中だけに秘められていた。