松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
2番のイーグル、12番のチップイン。
松山が感じていた“幸運と必然”とは?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2015/04/11 12:10
2番でマスターズ初となるイーグルを奪った松山英樹。首位のスピースと11打差の12位タイで決勝ラウンドを迎える。
好機を逃さずに、狙ったチップイン・バーディー。
今こそ――。
好機は12番でやってきた。アーメンコーナーのパー3。ショートアイアンで打ったティショットはグリーンの左手前に止まった。60度のウエッジで寄せた第2打は、そのままカップに入り、チップイン・バーディー。
アウトサイドロープから見れば、2番のイーグルは松山が飛距離の優位性を生かして狙って達成したイーグルで、12番のチップイン・バーディーは「ラッキー」に見える。
だが、松山自身の感じ方はその逆だった。2番のイーグルは「たまたま」で、逆に12番のチップインは狙ってモノにした獲物。
だからなのだろう。彼は「12番のチップイン」とは言わず、「12番のバーディー」とだけ言った。そんな彼の言葉を反芻すれば、たとえチップだろうが、パットだろうが、この2打目を決めてバーディーを取ってやるぞと考えていた彼の姿勢が見えてくる。
「いいライだったんで、入るかなと思ったら入ったんで、良かった。(そこまでの9ホールの間)バーディーが全然来てなかったので、12番のバーディーは大きかった」
ようやく見せた笑顔が、松山のゴルフを活性化させた。
ようやく見せた笑顔が松山のゴルフを活性化させた。続く13番でも1メートル半を沈めて連続バーディー。14番こそ短いバーディーパットを外したが、15番のパー5は2オン2パットでさらなるバーディー獲得。
そう、「好機が12番でやってきた」のではなく、松山自身が「好機を12番で作り出した」と言うべきだろう。ロープの内側で戦いながら、どんな状況下でも冷静な判断ができ、我慢もできる。そして、虎視眈々と好機を狙い、モノにできる。
それが、今の松山の姿だ。
初日に2連続ボギーを喫した上がり2ホールでは、2日目もヒヤリとさせられた。17番は前日同様、ティショットを右に曲げ、この日もボギーを喫したが、ピン奥10メートルに乗せてしまった18番はファーストパットを2メートル半もオーバーさせながら、返しのパーパットを冷静に沈め、パーで締め括った。