フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「でも、ぼくは心が広くないので悔しい」
羽生結弦、二連覇逃すも堂々の銀。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2015/03/30 11:30
羽生はフェルナンデスについて「ぼくにとってお兄さんみたいな存在」とコメントした。オーサーコーチは「あと2週間、練習が足りなかった。でも誇りに思うよ」と羽生をかばった。
「でも、ぼくは心が広くないので悔しい」
「本当に悔しいです。でもハビエルがすごくいっぱい練習をしてきて、その結果が実ったというのは嬉しい。彼はいつも『おめでとう、誇りに思うよ』とぼくに言ってくれていた。ぼくもこの立場になって初めて、彼の気持ちがわかった」
会見で羽生は、このように気持ちを語った。
「でも、ぼくは心が広くないので悔しい。絶対勝ってやりたいと思いますけれど、一緒に練習している仲間が勝つというのはこんなにも嬉しいものなのか、ということもわかりました」
羽生は2012年の銅、昨年の金に続いて今回の銀で、3種類すべての世界選手権メダルを手にしたことになる。
カザフスタンでフィギュアの先駆者となるデニス・テン。
フリー1位、総合3位は四大陸選手権チャンピオンのデニス・テンだった。
出だしの4回転でこそ着氷が乱れたが、続いた4+3トウループをきれいに降りて、残りをノーミスで滑りきった。フリー181.83、総合267.72を獲得し、2013年の銀に続いて2度目の世界メダルを手にした。
「昨日より良い演技ができて嬉しい。この優秀なスケーターたちに並んでここにいられるのは、光栄。ハビエルとぼくは、似ている気がする。彼も祖国のフィギュアスケートに大きな貢献をし、ぼくも自国のために同じことをした」
カザフスタンとスペインという、フィギュアスケートのトップ選手をかつて出したことのない国から出てきた2人。この先、彼らの名前がフィギュアスケートの先駆者として歴史に刻まれることになる。
小塚「自分で引き上げる実力がないといけないのかな」。
日本にとっては、大きな試練の与えられた大会となった。
SPが終わった時点で小塚崇彦が19位。無良崇人が23位という信じられないスタートとなったのである。フリーの抽選会では、小塚が1番滑走で無良は2番目滑走という結果になり、2人で顔を見合わせて苦笑いをした。
小塚はフリーでは最初の4回転で転倒したが、次の4+2トウループの着氷は耐えて2度の3アクセルも成功。フリー152.54、総合222.69を得た。演技後、第一滑走の感想を聞かれると、小塚はこう答えた。
「まだ試合の雰囲気に会場がなっていないところでやるというのは、なかなか難しい。それを自分で引き上げる実力がないといけないのかなという気はしました」