フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦SPトップで二連覇見えた!
ただし、来季の出場枠は大ピンチに。
posted2015/03/28 12:15
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
日本にとって厳しい男子の幕開けとなった。SPが終わった時点で、小塚崇彦が19位、無良崇人が23位。こんな結果になることを、いったい誰が予想しただろう。
3人中、最初に滑走したのは小塚崇彦だった。タンゴのメロディに合わせて最初の4回転トウループは着氷したものの、3アクセルで手をつき、コンビネーションを予定していた3ルッツで転倒。70.15という厳しいスコアが出た。演技後、小塚はこうコメントした。
「ウォームアップで3アクセルをパンクさせてしまい、その嫌な感情を本番に引きずってしまった。もしフリーに残ることができたら、攻めの姿勢でベストを尽くしたい」
得意な3アクセルがパンクした無良崇人。
一方最終グループの第一滑走だった無良崇人は、「カルメン」の出だしの4トウループの着氷でステップアウトし、何とあれほど得意な3アクセルを1回転半にさせてしまった。64.93という数字は、彼の自己ベスト86.28よりも20点以上も下回るスコアである。
「アクセルまで失敗したのはふがいない。上海に入ってからジャンプの調子が良くなってきていた。決めきれなかったのは悔しい。力不足です」と肩をおとした。
3カ月ぶり試合に出場した羽生。
そんな中で、羽生結弦は最後から2番目の滑走だった。全日本選手権以来、3カ月ぶりの試合である。12月末に尿膜管遺残症で腹部の手術を受け、1カ月半リンクから遠ざかった。ようやく再開した練習で「気持ちにあせりが出てしまって」右足首を捻挫。再び2週間の療養を経て、ようやく本格的に練習をはじめたのは3月に入ってからだったという。
このオリエンタル・スポーツセンターは11月に中国杯が開催された会場で、羽生にとっては因縁のリンクである。今回の6分間ウォームアップでは転倒もあったが、再び同じ位置でジャンプを跳びなおすと、自分を納得させるように、羽生は大きく頷いた。