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“湘南スタイル”でのゴールは2割弱!?
スタイルに酔わない曹貴裁と選手達。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/03/19 17:00
昨年J2で勝ち点100以上を獲得したチームをベースに、坪井慶介や高山薫などを獲得した湘南ベルマーレ。曹体制4年目、2度目のJ1挑戦はどんな結末が待ち受けているのか。
曹「サッカーの得点の3割強はセットプレー」
左CKからのゴールで勝利をつかんだ甲府戦後、曹はこう話している。
「我々の“商品”の一番いいところとして、セットプレーを売り出しているわけではないですが、その練習は守備も含めてたくさんやっています。サッカーの得点の3割強はセットプレーで、去年も、皆さんが言われるような湘南スタイルで取ったゴールは実は少ない。自分たちのスタイルで取った得点は2割弱ぐらいです」
現代サッカーの得点は、セットプレーが30%、カウンターアタックが30%、ミスやアクシデント絡みが20%で、チームのスタイルを発揮したものは20%と、曹は分類している。
それぞれの数字に若干の誤差が生じるとしても、スタイルによるものが全体の3分の1や2分の1まで膨らむことはない。だからこそ平塚市内の河川敷のグラウンドでは、オーガナイズされた相手守備陣を崩すボールの動かし方、ミドルシュートによる打開、CKやFKの精度アップにも時間を割いてきた。
曹が続ける。
「今日のゴールは、CKを取る前のプレーが良かったと思う。それがゴールにつながっていると僕は分析していて、あくまでも前に向かう姿勢があるからこそセットプレーのチャンスが取れると思っている」
セットプレーを取る「過程」にらしさが出る。
指揮官とまったく同じ見立てをしているのは、キャプテンの永木亮太だ。甲府戦の後半途中から出場した背番号6は、坪井慶介のヘディングシュートをアシストした。
「リーグ戦の鹿島戦を映像で見返したんですけど、セットプレーを取れている場面の前の段階は、自分たちのスタイルを出せていて、ウチのリズムでできていました。セットプレーが取れているのは自分たちが攻めている証拠なので、そういう過程を大事にしたいですね」
敗れた甲府の樋口靖洋監督のコメントも示唆に富む。アウェイで勝点を逃した湘南戦後、「セットプレーはゲームの結果を左右する重要な要素で、そこの失点を減らしていかないと勝点の積み上げはない」と話している。セットプレーからの得点を勝利へつなげているベルマーレの戦いぶりは、客観的視点からも評価されていることが分かる。