JリーグPRESSBACK NUMBER
“湘南スタイル”でのゴールは2割弱!?
スタイルに酔わない曹貴裁と選手達。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/03/19 17:00
昨年J2で勝ち点100以上を獲得したチームをベースに、坪井慶介や高山薫などを獲得した湘南ベルマーレ。曹体制4年目、2度目のJ1挑戦はどんな結末が待ち受けているのか。
2013年は3月の公式戦で白星0だった。
曹監督のもとで初めてJ1に挑戦した2013年シーズンは、3月に行なわれた公式戦で1勝もできなかった。接戦に持ち込んだゲームもあったが、勝ちきることができなかった。シーズンを通して波に乗り切れなかった一因である。
ましてや今シーズンから、J1は2ステージ制となっている。短期決戦を乗り切るにはスタートダッシュが大切だ。ナビスコカップも含めて、勢いをつかんでいかなければならない。
永木の表情が引き締まる。
「2013年はナビスコも含めて、なかなか勝てなかった。今日みたいな試合展開で同点に追いつかれたりとか。勝ちグセをつけるためにも、こうやって1-0で勝てるのは大事ですし、一昨年に比べれば成長できていると思います」
“湘南スタイル”の象徴と言える高速カウンターによるゴールこそないものの、足を止めずに走り続ける、球際で負けない、競り合いに挑む、タテを意識する、リスクを冒す、といった彼らのサッカーの本質は、しっかりと実践されている。それもまた、“湘南スタイル”を構成する要素なのだ。
曹監督と選手たちは、自分たちのスタイルに酔うところがない。居心地の良さを感じることもなく、スタイルを勝敗の言い訳にもしない。
J2で輝きを放った“湘南スタイル”がどこまで通用するのか、という周囲の興味を追い越して、彼らはすでに一歩先へ踏み出している。まどろみの時間がないエンターテインメントと結果の両立へ向けて、ベルマーレは成長速度を上げているのだ。