JリーグPRESSBACK NUMBER
“湘南スタイル”でのゴールは2割弱!?
スタイルに酔わない曹貴裁と選手達。
posted2015/03/19 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
一番冷静なのは、曹貴裁監督と選手たちである。
今季からJ1へ昇格した湘南ベルマーレは、ピッチに立つ全員が攻守に関わるサッカーを追求している。
「人もボールも動くサッカーを目ざす」とか「攻守にハードワークする」といった方向性を掲げるチームは多いが、ベルマーレは別格だ。「毎試合を決勝戦のつもりで戦う」と曹監督が話すように、エネルギーの出し惜しみがないのである。
攻守の切り替えでひと呼吸せず、チャンスとピンチに全員が感覚を研ぎ澄ます。得点の予感を嗅ぎ分ければ、ポジションに関係なく相手ゴール前へ押し寄せていく。ペナルティエリア内に5、6人と押し寄せるサッカーは、いつしか“湘南スタイル”と呼ばれるようになった。
ここまでPKで2点、CKで1点、クロスから1点。
シーズンの入りは悪くない。
3月7日のリーグ開幕戦こそ浦和レッズに1-3で敗れたが、同14日の鹿島アントラーズ戦はアウェイで2-1と競り勝った。J1リーグを代表する強豪クラブから、敵地で20年ぶり(!)につかんだ勝利である。松本山雅FC、モンテディオ山形を含めた昇格3チームのなかで、いち早くリーグ戦の白星を記録した。
18日に行なわれたナビスコカップでは、ヴァンフォーレ甲府を1-0で退けた。
互いに主力選手を休ませて臨んだ一戦を、しぶとくモノにした。
ここまでの3試合であげた得点は、PKによるものが2点、CKからが1点、それにクロスからのヘディングシュートである。対戦相手を上回る走力と攻守の切り替えの速さ、それにリスクを恐れない飛び出しがそのままゴールへ結びついたシーンは、まだ見ることができていない。
“湘南スタイル”は、J1の壁に直面しているのか?
否、そうではない。