コパノリッキー、抜群の手ごたえで直線に入る。

　先頭はアドマイヤロイヤル、その外の2番手にコパノリッキー、さらにキョウワダッフィー、ワンダーアキュート、グレープブランデー、レッドアルヴィス、インカンテーションらが差なくつづく。これらの後ろ、中団の外目に3番人気のベストウォーリア、サンビスタがつけ、その内に逃げると見られていたコーリンベリーがいる。

「ノリさん（横山典弘）が思い切って行ってくれたので、いい形で、スムーズに進むことができました」

　そう話す武がガチッと手綱を抑えたままコパノリッキーは3、4コーナーを回り、直線入口でアドマイヤに並びかけた。

「直線に向くまで、いい形で、いいペースで運ぶことができたので、後ろから馬が来るのを待つより、自分から出て行こうと思いました」

　ラスト400m地点を通過したところで武は手綱を絞り、ゴーサインを出した。

他馬の猛追にも武は「安心していた」。

　すぐにアドマイヤを競り落とした。が、外から内田博幸のインカンテーション、戸崎圭太のベストウォーリアらが追い上げてくる。さらに大外から2番人気のワイドバッハが猛然と迫ってきた。

　傍目には危うく思われたが、武は騎乗馬を信頼し切っていた。

「力のある馬なので、最後まで耐え抜いてくれる。乗っていて安心していました」

　武の右鞭に応えてコパノリッキーが二の脚を使い、インカンテーションの追撃を半馬身差でしのいだところがゴールだった。

　勝ちタイムは1分36秒3。2着のインカンテーションから3/4馬身差の3着がベストウォーリア、4着はグレープブランデーだった。

　武が「安心していた」と言うように、着差以上の力の差を感じさせた。

　村山調教師はこう話す。

「4コーナーを回ってから、ちょっと仕掛けを遅らせたのが、最後の粘りにつながったように思います。ゴール前、『ホッコータルマエがいないんだから負けるな』と思いながら見ていました。こんなときまで、あの馬を意識している自分がいることに気づきました」

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