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フェブラリーS連覇のコパノリッキー、
歴代の名馬と共通する“ある行動”。
posted2015/02/23 11:25
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
1年前は波乱の立役者だった馬が大きくパワーアップし、強い競馬で、史上初の快挙をやってのけた――。
春のダート王を決める第32回フェブラリーステークス(2月22日、4歳以上GI、東京ダート1600m)を制したのは、単勝2.1倍の1番人気に支持されたコパノリッキー(牡5歳、父ゴールドアリュール、栗東・村山明厩舎)だった。昨年、最低人気の単勝272.1倍でこのレースを優勝した同馬は、レース史上初の連覇を達成。騎乗した武豊は、2003年ゴールドアリュール、'06年カネヒキリ、'08年ヴァーミリアンにつづく4勝目を挙げ、最多勝記録を更新した。
スタート直後、予想外の展開に武豊は……。
ゲートがあいた次の瞬間、場内が大きくどよめいた。
ハナを切ると思われていた2番枠のコーリンベリーが出遅れたのだ。
4番枠から出たコパノリッキーのスタートもけっしてよくはなかったが、武に促されて加速し、内埒ぞいからじわっと先頭に立ちかけた。
スタンドから見守っていた、コパノリッキーのオーナーのDr.コパ氏はこう振り返る。
「逃げると思っていた馬が逃げないし、うちの馬もあまりいいスタートではなかったからヒヤッとしました」
しかし、武は落ちついていた。
「ほかの馬のことより、自分の馬が五分に出られてよかった。けっしていいスタートではなかったですけどね。近くにいたので、コーリンベリーが出遅れたのはわかりました。外の馬が無理に行かなければ先頭に立とうかなと思って乗っていました」
ゲートから2ハロンほど進んだところで、大外16番枠のアドマイヤロイヤルが鞍上の横山典弘におっつけられてハナを奪い、体ひとつ抜け出してから徐々に内に切れ込んできた。それと入れ替わるように武はコパノリッキーを外に誘導し、2番手で折り合いをつけた。
「豊さんが冷静に対処してくれました」と言うのは、コパノリッキーを管理する村山調教師だ。
「レース前、豊さんとオーナーと『砂をかぶらないように』という話をしていたんです。ハナを切ろうとしたときに外から来られ、そのまま真後ろにいたら砂をかぶっていたでしょうが、すぐ外に出して理想的な位置につけてくれましたね」