プロ野球亭日乗BACK NUMBER
原監督「コメントも変わってきた?」
新主将・坂本勇人が探る新たな世界。
posted2015/02/12 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
プロゴルファーの石川遼が、日本ツアーで絶好調だったころに、こんな話をしていたのを覚えている。
ラウンド後に丁寧にメディア対応する理由を聞かれたときだった。
「もちろんプロとして取材を受けるのも、一つの仕事だと思っています。ただ、1ホールごとにその日のラウンドを振り返ってメディアの人に説明するというのは、自分のためでもあるんです」
良かったショットとミスショット。攻略がハマったホールや強引にいきすぎて叩いてしまったホール。そういう一つ一つのプレーを自分の頭の中だけで終わらせないためだというのだ。
「その日犯したミスを頭でいろいろ考えて、分かった気になってしまいますが、実はきちっと整理されていないことが多いんです。だからこうしてメディアの人たちに話すこと、筋道を立てて言葉にすることで、自分の中でミスをきちっと受け止めることができる。ラウンド後のメディア対応は、自分のプレーにとっても大切なことなんです」
巨人の宮崎キャンプで、元オリックスの外野手でメジャーでも活躍した田口壮さんと立ち話をしていたときに、石川遼のこの話を思い出した。
教えるのが上手い方が、選手としても伸びる?
田口さんはオフなどに若い選手と一緒に野球教室をするときに、その選手がどう子供たちに教えているかを注意して聞いているのだという。
「野球教室なんてあまりやったことがなくて慣れていない若い選手でも、子供にグラブの使い方やバットの振り方、ボールの捕り方を分かりやすく教えられる選手はいるんです。その一方でどうにもボソボソっと要領を得ない選手もいる」
田口さんの経験的には、子供たちに野球の基本をきちっと教えられる選手の方が、プレーヤーとしても伸びることが多いというのだ。
「それだけ自分の中で一つ一つの技術やプレーに対する考えが、論理的に整理されているということなんです。それをきちっと言葉にして伝えられるというのは、プレーヤーとしても大切な資質だと思いますね」
つまり自分の感覚だけではなく、他人に論理立ててそれを伝えることで、思考は整理され、より明確に自分の中で組み立てられるということなのだ。