野ボール横丁BACK NUMBER
黒田博樹が再び日本で活躍する根拠。
股関節の硬さ、という弱点が長所に?
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byGetty Images
posted2015/01/19 11:00
黒田博樹のステップ幅は、ダルビッシュ有や田中将大と比べると明らかに狭い。一般的には短所と言われる特徴が適応力を生んでいる。
フォーム上、いちばん心配なのは甲子園。
ただ、川村はこう注釈をつける。
「黒田投手なら日本ではメジャーと同じように勝てると思いますが、メジャーのピッチングのままとはいかないと思います。フォーム上、いちばん心配なのは甲子園ですね。あそこはマウンドが柔らかいですから、メジャーの感覚に慣れ切っていると、あるいは足がうまいこと定まらないかもしれません」
また、黒田はメジャーでツーシームを体得して開花した。そのツーシームが、日本では通用しないのではないかという。
「日本のボールで同じようにツーシームを投げると、曲がりすぎるという説もあります。それに、手足の短い日本人はメジャーリーガーほど低めに手を出してくれませんからね。落ちるツーシームはアメリカほど効果的ではないかもしれません。低めを見られると、球数が増える恐れもあります。
じつは私は筑波大学の野球部員だったとき、当時専修大の1年生だった黒田投手と対戦したことがあるんです。レフト前にライナー性のヒットを打ったことがありました。これは私の学生時代の数少ない自慢話です(笑)。黒田投手のストレートは、フォームはゆったりしているのですが、強烈なスピンがかかって迫ってくるような感じがある。日本人には、低めに変化させるより、あの感じのボールを高めに投げられる方が打ちにくいのではないでしょうか。黒田投手もそうしたマイナーチェンジは必要でしょうね」
黒田はアメリカに残れば、20億円近い年俸を稼ぐことができた選手である。いずれにせよ、史上最強メジャーリーガーの来日と言ってもいい。その投手が、どういう投球を見せてくれるのか。
どんなに期待しても期待し過ぎるということはないのではないか。