松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、手探りの復帰戦を終えて。
「話にならない」発言、逆の意味。
posted2018/03/20 11:40
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
2月のフェニックス・オープンで左手親指の付け根付近を痛めて途中棄権した松山英樹が、フロリダ州オーランドのベイヒルで開催されたアーノルド・パーマー招待で1カ月半ぶりに試合に戻ってきた。
開幕前の松山は複雑な表情を浮かべていた。言うまでもなく、それは彼の複雑な胸の内の表れだった。
3連覇がかかっていたフェニックス・オープンを途中棄権した松山は、すぐさま日本へ帰り、検査のための病院へ。「いろいろ行きましたし、意見も聞きました」。だが、結局「直接的な原因はわからなかった」。
「わからなかった」ことが「良い結果」なのかどうかを現時点で明言できる人はおそらくいないだろう。手術などの大掛かりな処置がすぐさま求められる状態ではないとわかったことは、戦線離脱が長期に至らず、1カ月半でツアーに復帰できた今の状況をもたらしてくれた。
戦うためのミニマムな条件。
しかし、はっきりとした原因がわからなかったことは、それを防ぐための予防法や対処法もはっきりとはわからず、いつまた痛みが出るかもわからない状況と付き合いながら転戦を続けていくことを意味している。
飯田光輝トレーナーは「切れてるとか、裂けてるとかなら、わかりやすい。でも、そういう状態ではなかった」と、やっぱり複雑な表情。
「今後、松山選手は常に不安を抱えながらショットすることになるのですか?」と尋ねてみたら、飯田トレーナーは「いや、不安でティグラウンドに立てないと思うぐらいなら、この試合にも出なかったはずです」。
少なくとも戦うためのミニマムの条件はクリアしているということ。準備ができたから試合の場へ戻ってきたということになる。