プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ベンゲルがついにアーセナルを去る!?
自ら招いた「内輪もめ」に終止符を。
posted2014/12/16 10:40
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Tomoki Momozono
贔屓のチームではなくとも、サポーターの仲間割れは見るに忍びない。
近年のプレミアリーグでは、アーセナルが「内輪もめ」の常連になりつつある。今季も、12月6日の第15節ストーク戦(2-3)後に、ファン同士が激論のみならずパンチまで交わした一件が報道された。
チームを率いるアーセン・ベンゲルは、「言いたい奴には言わせておけばよい」という達観タイプの監督。だが内心では、責任を感じて胸を痛めていることだろう。「アーセナル信者」の衝突は、誰あろうベンゲル自身が原因なのだ。
アーセナルで18年間の長期政権を実現している名将に対する「限界説」は、2005年のFAカップ優勝後から続いた無冠時代を通じて次第に高まってきた。昨季のFAカップ優勝で9年連続無冠が阻止されても、一部ファンの間に蔓延する指揮官への不信感は根絶されなかった。
エジル、サンチェスというビッグネームを加えたが……。
むしろ昨季のタイトルは、不信感を高める結果となったかもしれない。無冠に終止符を打って自信を得ていたはずのチームには、昨夏のメスト・エジルに続いてアレクシス・サンチェスが加入してもいた。
育成を重視し、予算を圧迫しない補強で知られたベンゲルが2年連続で大物獲得に動いた今季は、否応無しに11年ぶりのリーグ優勝への期待が高まっていた。それだけに、シーズン前半戦にしてすでに優勝の2文字が遠のいたことで、「やはり駄目だ」と失望したファンが多かったに違いない。
ストーク戦終了時点でのリーグ順位は6位。だが、下馬評通りに首位を争うチェルシーとマンチェスター・シティのトップ2には、10ポイント以上の差をつけられていた。チェルシーはリーグ戦15試合で1敗のみ。2敗のマンCも、11月からは1引分けを挟んでリーグ戦5連勝。まだシーズンは折り返し地点前とはいえ、挽回可能と楽観視できるポイント差ではない。