Jをめぐる冒険BACK NUMBER
技術は練習から。では自信は何から?
武藤嘉紀が本田圭佑に学ぶべきこと。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/12/12 16:30
大久保嘉人、豊田陽平、マルキーニョスに続きJ1でゴール数4位タイとなった武藤嘉紀。守備でも存在感を発揮するタイプで、代表でもアギーレ監督のお気に入りだ。
ドリブルよりも「断然、得点」という武藤の変化。
ドリブルでDFを抜く快感と、ゴールする快感、どちらが上か――。そんな質問に対し、4カ月前「どっちもどっち」だった武藤の答えは今、「断然、得点ですね」に変わった。
「今はストライカーとしての責任を感じられるようになってきた」と言い、ストライカーと呼ばれることにも「今は違和感がない」とも。
ストライカーである以上、結果を求められるのは当然だ。ゴールを奪えている間はいい。だが、毎試合のようにゴールを奪える選手は、世界を見渡してもメッシやクリスティアーノ・ロナウドといったほんの一握りしかいない。
佐藤寿人でさえも2カ月半もの間ゴールから見放された経験があり、今シーズンの得点王に輝いた大久保嘉人も7試合ゴールから遠ざかった時期があった。そんなときでも自信を保っていられるかどうか――。
「フィジカル、テクニック、メンタルとすべての面においてワンランク、ツーランク成長しないといけない」
技術の吸収力は折り紙付き。ではメンタルは?
来シーズンに向けて、武藤はこんなことを言っている。吸収力が高く、日々の努力を積み重ねてきた彼のことだ。フィジカルやテクニックの項目は、しっかりと数字を高めていくに違いない。注目したいのは、メンタルだ。
「圭佑くんは、自分に自信を持っているのが体から滲み出ている。『ああ、これが自信なんだな』って。絶対にネガティブな発言をしないんですよね。そういうところは見習おうと思って、意識しています」
憧れの先輩からすでに何かを感じ取っているようだ。
この1年で育んできた自信を、どう揺るぎないものにするか。それができたとき、スポーツの世界でよく言われる2年目のジンクスとも無縁でいられるはずだ。