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元浦和コーチ・モラス雅輝の決断。
オーストリア2部のコーチに就任。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph bySV Horn
posted2014/12/08 10:40
モラス雅輝(左)が卒業した「オーストリア・スポーツマネジメント・アカデミー」で、現在20歳にしてSVホルンでGMを務めるプリシングとも同級生だった。
SVホルンに感じた“明確なビジョン”。
11月下旬、会長、取締役、GM、監督との最終面談を行なって、コーチ就任が正式に決定した。すでにオーストリア2部はウィンターブレイクに突入しており、1月上旬に練習が再開する。今、モラスはウィンターブレイク中の個人メニューをフィジカルコーチとともに決めつつ、再開後に向けた準備を進めている。
モラスはオファーを受けた決め手をこう語る。
「SVホルンには2017年に1部昇格という明確なビジョンがあって、さらに監督とも旧知の仲。新GMとも仕事をしたいと思っていました。現場視察のときに出会った関係者はみんなハートフルで、本当にクラブのことを思って行動しているのが伝わってきた。クラブを育てたいという気持ちを全員から強く感じたんです」
環境面にも、クラブの本気度を感じた。スタジアムを含めてトップチームが使えるピッチは6面あり、クラブハウスはまだ小規模だが改築のプランが進んでいる。
4つの仕事と、監督という最終目標。
コーチとして求められている仕事は主に4つある。
【トレーニングメニューの作成】
トレーニング全体をコーディネートして、同時にフィジカルコーチと連携。体力測定や負荷管理をともに行なう。
【チームマネジメントのサポート】
栄養面を含めた練習・試合の支援。チーム編成に関わり、移籍市場に向けての準備を進める。練習試合の対戦相手のコーディネートも。
【スカウティング】
自チーム、および相手チームの分析。リーグ全体の選手に関するデータバンクの更新。セットプレー対策。自チームのデータ管理や映像編集。
【クラブ力アップのための提案】
日本やアメリカなどでのマーケティングや情報提供。
SVホルンは2013年に2部に昇格したばかりで、3部に昇格したのも2007年のことだ。だが、それだけに「1部に行きたい」という思いがクラブ全体に共有されており、モラスは特別な熱を感じた。
「ヨーロッパでのプロレベルでの仕事をすることによって、さらに多くのことを吸収して今後に役立てたい」
モラスはいつかヨーロッパのプロリーグで監督を務めることを目指している。まずは今季、SVホルンの2部残留にすべてをかける。