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中央突破はサイド攻撃の4倍効率的!?
ドイツ協会が考える戦術のトレンド。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2014/11/10 10:40
W杯で優勝したドイツ代表は、試合中にもシステムを流動的に変化させ、選手たちもスムーズに適応した。相手や状況に応じてスタイルを変えられることは、強さに安定感をもたらす。
中央突破の方が、サイド攻撃よりも4倍効率的?
そして第2特集は、「どうやってゴールが生まれたか」の分析だ。
“相手の守備が整っているときの攻めか・いないときの攻めか”という視点で状況を分けており、大雑把に言えば「遅攻」と「速攻」ということだ。さらに「中央とサイド、どちらから攻めたか」、「どこでボールを奪ったか」という視点も加えられている。
先に結論を書くと、「中央からの攻撃がより効果的だった」と同誌は分析している。
以下、詳細なデータだ。
(1)相手の守備が組織された状況から奪ったゴール(遅攻)
総得点数:73点(42.6%)
中央からの崩し:35点
サイドからの崩し:38点
(2)相手の守備が組織されてない状況から奪ったゴール(速攻)
総得点数:49点(28.7%)
ボールを奪った位置がアタッキングサード:10点
ボールを奪った位置がミドルサード:19点
ボールを奪った位置がディフェンシブサード:20点
(3)セットプレー
総得点数:49点(28.7%)
PK:12点
FK:12点
CK:25点
(1)と(2)をまとめて、純粋に中央とサイド、どちらを突破してゴールが決まったかに分けると、次のようなデータになる。これを見ると、上述した「中央からの攻撃がより効果的だった」ということがわかる。
得点数: 中央62点 サイド60点
攻撃回数: 中央934回 サイド4099回
1得点に必要な攻撃回数: 中央15.1回 サイド68.3回
中央は15.1回の攻撃につき1ゴールが生まれているのに対して、サイドは68.3回につき1ゴール。中央突破は難しいという印象があるが、チャレンジする価値があることがわかる。