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阪神・ゴメスにはストレートが有効!
日本一の行方を左右する「主砲対策」。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/10/28 10:50
今年の打点王でもあるゴメスは、勝利打点も巨人の坂本勇人についで、鳥谷敬と並んで2位タイ。勝負強い助っ人主砲の調子が、阪神の命運を握っている。
澤村拓一の投球にみる、ゴメス対策。
そのゴメスの爆発を振り返って、ある巨人OBがこんな証言をしている。
「ゴメスを抑え切るヒントは巨人戦の2戦目の澤村(拓一投手)のピッチングにあると思いますよ」
実はシーズン中、澤村はゴメスに打率3割8厘と打たれて数字上はカモにされているのだが、その一方で5三振と三振も多いという特長がある。打たれているケースはほとんどが制球ミスで、きちっと狙い通りに攻めきれたときは、二人の関係は数字とは逆転。ある意味、圧倒的に澤村有利な状態を築けているのである。
「巨人が澤村を2戦目に持ってきたのには、やはりゴメスを抑えきることが目的。ゴメスを抑えきれば、阪神打線を抑えることにつながるという考えがあったからだと思う。結果的に澤村は自滅してしまいましたけど、ゴメスは三振と内野ゴロとほぼ完璧に抑えきっている。そういう意味では巨人の考えは間違いではなかったとも言えるんです」
「変化球を打つのが上手いが、真っ直ぐには詰まる」
それでは澤村がなぜゴメスからシーズン中も5つの三振を奪い、CSでも抑えきれたのか?
「インハイの真っすぐを投げきれるかどうか。その一点だと思います」
前出のOBは言う。
「ゴメスが日本で成功している一番の理由は、変化球を打つのが上手いこと。ただ、逆に真っすぐにはどうしても詰まる傾向にある。澤村の一番の武器は、150km超のストレートで、これがある程度制球出来ているときは、ゴメスも手も足も出ないということなんです。
ゴメスが得意なのは実は変化球。そういう意味で初戦のソフトバンクは、ゴメスに対する配球ミスだったとも言えます。澤村ほどの球威がなくても、対戦する投手が勇気を持って内角高めの真っすぐを投げきれれば、抑えることができない打者じゃない」
澤村ほどの球威がなくても、内角高めのストレートをきちっと投げ切る、またゴメスにそのボールを意識させることができれば、ある程度抑えることができる。そうなればソフトバンクはシリーズの流れを大きく引き寄せることができるということである。