果敢に内角をえぐり、真っ直ぐを意識させること。

　実際、第1戦先発のスタンリッジは第1打席では高めの真っすぐで三振を奪ったが、第3打席ではスライダーを打たれて2点タイムリーを許した（第2打席の適時二塁打は真ん中やや外寄りの甘いストレートで完全な制球ミスなので論外）。逆に第2戦では1点差の9回無死一塁でゴメスを迎えたソフトバンクのクローザー、D・サファテ投手が真っすぐで押し切ってゴメスを二飛に打ち取っている。

　外国人選手はストレートに強いという固定観念は、ゴメスの場合はかえって邪魔になる。むしろ果敢に内角をえぐり、真っすぐを意識させることこそが、阪神のキーマン封じには不可欠な配球だということなのだ。

　逆に阪神にとっては、ゴメスが封じられたときにいかに得点力を維持するかということにもなる。そうなると、5番のM・マートン外野手はもちろん、6番を打つ福留孝介外野手のバットにかかる比重が、今後より大きくなるということだ。

このシリーズ、7戦までもつれる予感。

　1勝1敗――。

　ソフトバンクの本拠地・ヤフオクドームに場所を移すと、パ・リーグのチームが戦い慣れている指名打者制度に戻って、1、2戦でソフトバンク・秋山幸二監督が見せた采配面でもチグハグさもなくなるはずである。

「投手が打線に入るのに慣れていないから、（指名打者制度での戦いは）大きいね。大きいよ！」

　秋山監督の言葉である。

　先発陣の安定感では阪神が勝るものの、地の利はソフトバンクにある。

「この2戦で選手たちは自信をつけたと思う。十分に戦えると。（甲子園球場での2試合と）同じような戦いが向こうでもできると思う」

　阪神・和田豊監督の言葉である。

　ともに絶対的な決め手のないこのシリーズ、7戦までもつれる予感がする。