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青木宣親、ワールドシリーズ進出!
今、ロイヤルズはとんでもなく強い。
posted2014/10/16 16:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
まさか、まさかの「スウィープ」である。
メジャーリーグ、アメリカンリーグのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、青木宣親の所属するロイヤルズがオリオールズに4連勝して(スウィープ)、1985年以来となるワールドシリーズ進出を決めた。
ポストシーズンに入ってからのロイヤルズは、神がかった勝ち方をしている。
・ポストシーズン8戦全勝
・延長戦4戦4勝
・1点差ゲーム4戦4勝
いま振り返ってみると最初のワイルドカードが最大の危機で、8回表を終わってアスレチックスに7-3とリードを許し(8回裏3点、9回裏1点で追いつく)、延長12回表にも1点勝ち越されたのだが、機動力を生かしてひっくり返した。
接戦での強さを支える「HDH」3人衆。
この逆転劇を生んだのも、ブルペンの踏ん張りがあったからだ。
ロイヤルズのポストシーズン8戦の戦いぶりを見ていくと、強固な「ブルペン」を作り上げることが、現代野球、とくに短期決戦において極めて重要なことがわかる。
アメリカでは、ロイヤルズの3人のリリーフ陣、ヘレーラ、デービス、ホランドの3人はその頭文字を取って「HDH」と呼ばれ始めた(「HGH」、ヒト成長ホルモンの頭文字と似ているので、ちょっとドキッとするが)。
3人のポストシーズンでの成績は圧倒的だ。
ヘレーラ 7試合 8回1/3 奪三振10 与四球2
デービス 8試合 9回1/3 奪三振10 与四球2
ホランド 8試合 8回 奪三振10 与四球5
メジャーリーグでは、1イニングにつき1個以上の三振を奪っている投手には大きな信頼が置かれる。ピンチを切り抜ける力が備わっているからだ。ヘレーラ、デービスは100マイル近い速球を持ちながらコントロールが良く、ホランドは変則的な投球フォームから相手打者を幻惑するのに長けている。
ロイヤルズとしては、先発投手に6回まで踏ん張ってもらい、リードあるいは同点という展開になっていればこの3人をつぎ込んで勝ちパターンに持っていくことができる。
いま、ロイヤルズはとんでもなく強い。