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青木宣親、ワールドシリーズ進出!
今、ロイヤルズはとんでもなく強い。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2014/10/16 16:30
ワールドシリーズ進出を決め、ファンたちと喜びを共有する青木宣親。昨年はレッドソックスの上原浩治が輝いた世界一の座を、青木も手にすることができるか。
2番に固定された青木宣親が続ける「好打席」。
打線の方に目を転じてみれば、レギュラーシーズンで本塁打数リーグワースト、盗塁リーグナンバーワンという成績がロイヤルズを象徴している。
その機動力は相手にかなりのプレッシャーをかけており、策士バック・ショーウォルター率いるオリオールズは一、三塁の場面で、一塁牽制を暴投したように見せかけ、三塁走者を刺そうとするなど知恵を絞ったが、効果を得るまでには至らなかった。
それどころか、ムスタカスが4本塁打、ホズマーが2本塁打と長打力まで加わりはじめ、バランスのいい打線になってきた。
そのなかで、青木の存在感も光っている。9月からは2番に固定され、試合後半に出塁すると代走ダイソンを起用されるパターンが定着しているが、限定された役割のなかで、出塁を意識した「好打席」が目立つ。
アメリカでは、たとえ凡打に終わったとしても、相手投手に球数を投げさせたりすると打者として高評価を得られる。いま青木は、その質の高い打席をチームに提供している印象だ。
8連勝の勢いは世界一まで持続するか。
青木に期待したいのは、ワールドシリーズでの活躍が、そのまま来季の評価へとつながるということだ。
今季で契約が切れる青木としては、勝負どころでいい働きができれば、他球団のGMも放っておけなくなる。
ポストシーズンではこれまでのところ、三振1、四球3という数字が光る。2番打者としてしっかりと出塁を心掛けているのが見えてくる数字だ。しかし、反対に長打は1本もない。ワールドシリーズでは、ぜひとも意外なパワーを見せてほしい。
ロイヤルズ全体としては、ワールドシリーズが10月21日開始と決まっており、8連勝で来た流れが止まってしまうことが心配だ。
勢いを維持できるのか。
それとも、新たな流れを作るのか。
ワールドシリーズがいよいよ始まる。