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鎌倉のトレイルラン騒動を徹底追跡。
ランナーと非ランナー、共存の道は?
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byMami Yamada
posted2014/10/11 10:40
鎌倉市内の天園ハイキングルートを走るランナー。ハイカーや家族連れでも賑わう(写真はイメージ)。
問題視された、2つのトレラン大会。
3月の「トレイルラン規制の条例化についての陳情」の採択は、トレイルランニングを巡る諸問題の象徴的な話題として、鎌倉という土地の知名度も手伝って多くの人の知るところとなった。
この陳情書を提出したのは、鎌倉で40年近くハイキングコースの整備と清掃活動を行っているボランティア団体「ハイキングクリーン」。
彼らがトレイルラン規制を望んでいるのが、鎌倉でも人気の天園(てんえん)、大仏、祇園山のハイキングコースだ。
ハイキングクリーンの代表・御法川齊さんによると、多くのハイカーが訪れる天園コースを使ったトレイルラン大会が行われていることを危惧し、2年近く前からコース変更や大会自粛を行政に働き掛けていたという。
「数百人ものランナーに、この狭い道を駆け抜けられたらたまったもんじゃない。いつ事故が起きてもおかしくないと感じたんです」
そのレースとは「鎌倉アルプストレイルラン」と「三浦半島縦断トレイルラン」の2つだ。
12月開催予定だった大会は、自主判断により中止に。
大会の主催者は、横浜市に拠点を置くNPO野外活動(自然体験)推進事業団。もともとは横浜市の子どもたちを対象に野外活動の指導を行う集まりとして組織され、'05年頃から鎌倉でトレイル大会を主催してきていた。片山成充代表理事は振り返る。
「10年近くも開催していて、なぜ今? と正直驚きました。一方的な意見を押し付けられている気がして納得いかなかったのも事実です」
両団体は、時に鎌倉市の齋藤和徳課長を仲介役にしながら何度も話し合いを重ねたが、妥協点を見出すことはできず、昨年12月に開催予定だった第10回鎌倉アルプストレイルラン大会は、主催者側の自主判断により中止するに至った。