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鎌倉のトレイルラン騒動を徹底追跡。
ランナーと非ランナー、共存の道は?
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byMami Yamada
posted2014/10/11 10:40
鎌倉市内の天園ハイキングルートを走るランナー。ハイカーや家族連れでも賑わう(写真はイメージ)。
陳情書に盛り込まれた、4つの提案。
この経緯はメディアにも報じられた。
「鎌倉市は松尾崇市長名で『鎌倉アルプストレイルラン大会の中止依頼』を主催者団体に通達した。これを受け、12月に予定されていた同大会は中止となった」(msn産経ニュース、'13年11月6日配信より抜粋)
「それでホッとしていたんですが、2月にもう1つの大会は開催すると聞いて。これは何とか阻止せねばと思い、急いで市議会に陳情書を提出したわけです」(御法川さん)
ハイカーが多い天園を避けるよう要請された主催者は、意向を汲んで新コースを設定したが、両者の対立は解消されないまま。結果的に「三浦半島縦断トレイルラン」は大雪のため中止になったわけだが、両団体は着地点を作り出すことは出来ず、陳情書採択という状況が生まれることになった。
その陳情書では、4つの提案がなされていた。
1、タイム・レースの禁止
2、団体走行の禁止
3、個人も含む全面禁止
4、ランナー専用道の新設・整備
鎌倉は、京都と比べても面積あたりの観光客が8倍!
鎌倉市の人口約17万人に対して、年間観光客数はおよそ2000万人。日本有数の観光地である京都などと比較しても面積当たりの観光客数は8倍近く、その混雑度は全国で群を抜いている。
また、天園コースの年間利用者は40万人にものぼり、陳情書の対象となった3コース全体の数字は公表されていないが、70万人ほどとも言われる。鎌倉という決して広くないエリアにどれだけ多くの人が集中的に訪れているのかよく分かる。
さらに、昨年GWの鎌倉市の調査によれば、調査時間内に天園コースを利用した約2400名のうち、トレイルランナーは60名ほどだったという。これは計算すると利用者の3%にあたる。