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日本代表「散歩隊」が存続の危機!?
“川島隊長”が新メンバーを募集中。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJMPA
posted2014/10/08 10:30
リラックスとコミュニケーションを目的にした「散歩隊」。メンバーの入れ替わりが多い今の日本代表にあって、重要な役割を果たす……かも?
「散歩隊」の名づけ親、中澤佑二に聞いてみた。
存続を願う筆者は、「散歩隊」の名づけ親でもある中澤佑二に話を聞くことにした。
36歳の中澤は昨季、Jリーグのベストイレブンに返り咲き、今なお日本トップクラスのセンターバックとして横浜F・マリノスの堅守を象徴する存在である。代表でもドイツW杯、南アフリカW杯に主力として出場し、110キャップを誇る。
その中澤がジーコジャパン時代、楢崎正剛らとともに朝の散歩を恒例化し、自身のブログで紹介したことで「散歩隊」が世間に知られるようになった。
中澤は当時の記憶を呼び戻しながら、教えてくれた。
「僕が代表に入る以前からあったとは思うんです。自分たちのときは、楢さん(楢崎)に『一緒に行きましょうか』となって、マコさん(田中誠)、アツさん(三浦淳寛)たちも一緒に。朝、体を動かすことはいいし、国内でも海外でもここがどんなところかっていう文化を見てみたいなという思いもありましたからね」
散歩には、ハプニングがつきもの。
散歩には時折、ハプニングもある。海外ならなおさらだ。
彼の話を聞いているうちに、ベトナムなど東南アジア4カ国で開催された2007年のアジアカップを思い出した。代表が拠点を置いたハノイの町は横断歩道や信号がなかなか見当たらず、楢崎隊長を先頭にした散歩隊が道路を渡るだけでも一苦労。走ってくる車をかいくぐって渡らなければならないが、車を避けようとしたらあやうくバイクに衝突されそうになった、とか。
あるときは、黒塗りの物騒な車が選手たちの前で急停車して「サインください!」と求められたことも。こちらが以前に聞いたエピソードを振ると、中澤は白い歯を見せて笑った。
「バイクがびゅんびゅん飛んできましたからね(笑)。路地裏を通ったら、わけのわからないところに出てしまったり、行き止まりだったり。でもベトナムの文化に触れることができたんで、良かったですけどね」
川口能活を含め、散歩隊の輪は広がっていく。稲本潤一、矢野貴章……。
南アフリカW杯ではセキュリティー上外出が許されなかったが、広大なベースキャンプ地内をみんなで散歩していたそうだ。