なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
北朝鮮に完敗しアジア銀のなでしこ。
依然進まない新世代でのチーム作り。
posted2014/10/02 12:05
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
スタジアムに響く「イギョラ(勝て)! コリア!」の大声援。日本応援団の声がかき消されるような大音量の中、仁川アジア大会女子サッカー決勝でなでしこジャパンは北朝鮮に1-3と敗れ、連覇を逃した。
「内容もスコア通りだった」
佐々木則夫監督が完敗を認める。キャプテン宮間あやは「金メダルを取りにきたので残念だし、情けない思い」と憮然とした表情を浮かべた。3連覇を逃した昨年7月の東アジアカップでは「もう、アジア勢には負けない」と言ってピッチで号泣したが、この日は流す涙もなかった。
「若手との融合と大会連覇」をテーマに仁川に乗り込んだ。グループリーグでは初戦で中国に0-0と引き分けたが、2戦目から準決勝までは格下の相手が続き、圧勝の連続で勝ち上がってこられた。
それまでとは一転して、世界レベルの強豪である北朝鮮と対戦することになった決勝では、これまでの4試合の流れに沿ったメンバーで先発を構成し、実力を試そうとした。今大会で初代表に選ばれたFW増矢理花と左サイドバック臼井理恵が名を連ね、今年初キャップを刻んだ吉良知夏も左サイドハーフに入った。若いメンバーで骨のある相手にどこまで“闘う”ことができるか。
メンタル面も試される試合だった。
球際で激しい北朝鮮に終始気圧されていたなでしこ達。
けれどもなでしこは、立ち上がりから押し込まれた。球際で激しく来る北朝鮮に気圧され、リズムをつかめない。
すると前半12分。セットプレーからあっけなく先制点を奪われ、後半7分にはカウンターから縦パス1本で裏に抜けた主将の背番号10、ラ・ウンシムにゴールを許し、2点差とされた。
一矢報いたのは後半11分だ。右サイドの川澄奈穂美のクロスに合わせてニアサイドへ走り込んだ高瀬愛実に、宮間が後方から「スルー!」と叫び、右足で決めた。
「長い距離を走って行けたし、川澄とは目が合っていて、わざわざワンクッションためてくれたので」と宮間。なでしこらしいコンビネーションが見られたシーンだった。