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日本代表「散歩隊」が存続の危機!?
“川島隊長”が新メンバーを募集中。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJMPA
posted2014/10/08 10:30
リラックスとコミュニケーションを目的にした「散歩隊」。メンバーの入れ替わりが多い今の日本代表にあって、重要な役割を果たす……かも?
「頭をからっぽにして、たわいもない話をして歩く」
では、散歩をしながらどんな話をするのか。
中澤は言う。
「たまにサッカーの話もしましたよ。後ろのポジションの人が多かったせいもありますけど、昨日の試合はこう守ったほうが良かったですかねとか、次の相手にはどうすればいいですかね、みたいな話をしたり……。
でも一番はリラックス(すること)。国内だと30分ほどですけど、海外になると1時間ぐらい散歩していましたかね。僕は部屋でゆっくりするよりも、やっぱり朝日を浴びたい。午前中、日光を浴びることっていいと思うんです。体内時計を整えるという意味でもね」
サッカーのことはいずれ練習やミーティングでたくさんコミュニケーションを取る。だからここではリラックスして頭をからっぽにして、日光を浴びながらワイワイガヤガヤとたわいもない話をして歩く。それだけで十分に意味がある。
一時的な“体験隊員”も増え、楢崎や中澤たちが代表から外れても「散歩隊」は存続を続けてきた。のちに「僕も一緒に」と入ってきた川島が、今やその伝統を守る立場になっている。
「朝食後」「30分~1時間」という要素も変わっていない。強制しないという暗黙のルールも、昔からのものだ。欧州だろうが、中東だろうが、ブラジルだろうが、散歩隊は歩いて、歩いて、歩いてきた。何より散歩を楽しむ気持ちを大切にしてきた。
川島隊長の孤軍奮闘に期待したい。
だが時代も変わってきたのか、朝を「自分流」でくつろいだり、調整したりする選手が増えてきたとも聞く。
中澤に「散歩隊」存続の危機を伝えると、ちょっと寂しそうにも見えた。
ハビエル・アギーレが指名した3人のリーダーには、川島と吉田が入っている。
彼らはプライベートでも、若い選手たちのこともよく気にかけているという印象が筆者には強い。9月からは9人のメンバーが入れ替わることもあり、代表の雰囲気を知る意味でも「散歩隊」はおススメだ。
今回は吉田がいない分、ここは川島隊長の孤軍奮闘に期待したい。
新潟に、シンガポール。散歩するには絶好の季節。ただくれぐれも、交通事情には気をつけてくださいませ。
川島隊長のブログを、日々チェックしようと思う。
新しいメンバーが入っていることを期待して。