なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
北朝鮮に完敗しアジア銀のなでしこ。
依然進まない新世代でのチーム作り。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2014/10/02 12:05
キャプテンの宮間は「もう少しサッカーらしいサッカーをやりたかった」と完敗を認めざるを得ない発言も。
「世代交代とか言っている時期ではない」(川澄)
その増矢は、試合中に阪口夢穂から「パスにどういう意図があるか分からない」と言われたことが強く胸に残ったという。
「レベルの高いところでは、パス一つで次にどうしてほしいのか、意図を伝えないといけないのだと感じた。二つ先、三つ先のプレーのイメージも共有しているのだと知って、求められることは高いなと感じた」というのだ。
増矢は今大会中、試合を重ねるにつれて新たな要求が出てくることで戸惑いも見せていた。決勝でカウンターを食らった臼井、チャンスに絡めなかった吉良や、中堅としてチームを引っ張ることで強い印象を残すことのできなかった高瀬、菅澤優衣香も含めて、メンバーの全員が捲土重来を期しているはずだ。
とはいえ、連覇の懸かるW杯は来年6月に迫っている。5月のアジアカップ、今回のアジア大会と、新戦力の発掘と融合に労を割いてきたが、このあとはもう余裕を持てる時間はない。
大会中から「新しいメンバーで、コンビネーションも何もかも、まだまだ物足りない」と言い続けてきた川澄は、「W杯まではもう1年もない。若手の底上げとか、世代交代とか言っている時期ではなくなっている」と厳しい口調で現実の姿を表現した。そして、「海外組が加わったらもっとこういうプレーができるなというイメージもある。海外組も入って、それが日本代表になる」とも言った。
4年前はこの大会での初優勝が翌'11年のW杯初制覇につながった。今回、連覇を逃したアジア大会は来年にどうつながるか。佐々木監督は「今回を良い薬にして準備していかないといけない」と唇を真一文字に結んだ。