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驚きのスペインA代表初招集!
バルサに現れた19歳、ムニルの未来。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byWinner Media/AFLO
posted2014/09/10 10:30
代表招集に驚いたムニルは「開いた口がふさがらなかったよ。スペイン代表でプレーすることは夢なので、すごくうれしい」とコメント。
ユースレベルのチャンピオンズリーグで、MVPに。
そんな彼の名が広く知れ渡るきっかけとなったのは、昨季にはじまったユースレベルのチャンピオンズリーグ、UEFAユースリーグでの活躍だ。
ミラン、セルティック、アヤックスと同組に入ったグループリーグを5勝1分の無敗で首位通過したバルセロナにおいて、5ゴール3アシストを記録したムニルはすぐに欧州各国から集まったスカウトたちの注目を集める存在となった。
1月にはアーセナルやバイエルン・ミュンヘンなど欧州各国からオファーが殺到する中、慌てて契約更新を申し出たクラブと2017年まで契約を延長。3月にはBチームでデビューを果たすと共に、U-19代表からも招集を受け初めてラ・ロハ(スペイン代表)のシャツに袖を通した。
その間もUEFAユースリーグでの活躍は続き、終わってみれば共に大会最多の11ゴール5アシストを記録。ベンフィカを3-0で下した決勝ではハーフライン付近から超ロングシュートを決めたことも話題となり、文句なしで大会の最優秀選手に選ばれた。
なお、同大会の準決勝でベンフィカに0-4と大敗したレアル・マドリーは、オフに育成部門のディレクターを解雇した。その原因の1つが、地元出身の逸材をライバルクラブに奪われる失態を犯したからだと言われている。
テストマッチで絶好調、開幕戦で初ゴール。
そして他のカンテラーノたちと共に、トップチームのプレシーズンに参加した今夏。ムニルはテストマッチでチーム最多の4ゴールを挙げてルイス・エンリケ新監督の信頼を掴むと、ネイマールが欠場したエルチェとの開幕戦で先発デビューのチャンスを得ただけでなく、チームの2点目となる初ゴールまで決めてみせた。
続くビジャレアル戦でもネイマールをベンチに座らせて先発を維持した彼は、同じ時期にU-21代表の初招集を受ける。さらに同代表でデビューした翌日、今度はフル代表から声がかかったのである。
フベニールからトップチーム、そしてフル代表へ。僅か半年のうちに信じられない飛躍を果たした彼が、今後も順調にラ・ロハのエースに成長するかどうかは分からない。だが、そのポテンシャルが十分にあることは確かだ。