本多監督「こちらからは1球もサインを出さなかった」

　センバツ王者を1失点に封じたエースの金子大地は、自身のパフォーマンス以上に、「守屋のリードがあったから」と女房役を称えた。

「『最初から考えて投げていこう』と言ってくれました。守屋はいつも相手の狙い球とかを勘づいてリードしてくれるので、自分も1球1球集中できるし、今日も初回から『こういう配球なんだ』と、信じて投げることができました」

　バッテリーの阿吽の呼吸がもたらした勝利に、本多利治監督も会心の笑みを浮かべる。

「本当によくやってくれました。守屋は少し心配だったのか、ベンチの私のほうをチラチラ見ていましたけど、リードには全幅の信頼を置いていますからずっと無視していました（笑）。こちらからは1球もサインを出しませんでした」

2年生エース平沼を牽引した敦賀気比の岡田。

　第2試合と第3試合は、変化球主体のリードで投手をもりたてるシーンが際立った。

　敦賀気比対坂出商の一戦は、最終スコアは16－0と敦賀気比のワンサイドゲーム。それでも捕手の岡田耕太は「三振を狙うな。打たせて取ることだけを考えろ」と手綱を締めて、2年生エースの平沼翔太を牽引した。

　スローカーブやチェンジアップを巧みに操り3安打、7奪三振で完封した平沼は、バッテリー間のやり取りをこう振り返る。

「自分が投げたいボールがあるときはサインに首を振ることもありますけど、今日も岡田さんのリードを信じて投げることができました。相手は初球から振ってきたんで甘く入らないように。『単打はOK』くらいの気持ちで投げることができました。三振を狙うのもいいけど、打たせて取ったほうが味方の攻撃にもリズムが生まれるんで」

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