川越投手コーチが指摘する「間合い」の改善を。

　2回に先頭のミランダに安打を許し、1死一、三塁からスクイズと三塁打で2点を献上。5回にも1死からエラー、四球、タイムリーと簡単に得点を与えてしまったのだ。

　走者を置いてからの投球テンポの悪さ。投手コーチの川越英隆は、その原因を「間合いの問題」だと説明する。

「ランナーを背負ってから無意識のうちに考え込むところがあるのかもしれませんね。クイックがそんなに早いわけじゃないから、ピッチングの間合いを気にしているところがあるんでしょう。間合いですね、間合い。そこがよくなれば。そういうような話は本人ともしているんですけどね」

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　不甲斐ない投球を続けながらも課題克服に励む悩める右腕。西武時代から彼をよく知る伊東監督だからこそ、簡単に突き放すことができないのだろう。

チームを浮上させるきっかけには、涌井が不可欠。

　しかしながら、交流戦後のチームは2勝6敗。目下4連敗と厳しい現状は変わらない。指揮官は本音を漏らす。

「きっかけがね……きっかけがなかなか見つからないですけど」

　チームを浮上させるきっかけとなる存在が涌井であってほしい――。そう解釈するのは無理があるだろうか。

　移籍後初勝利を挙げた試合で、涌井は確かにこう言った。

「伊東監督を男にしたい気持ちはある」

　今こそ、恩師を男にする時なのだ。